初恋をもう一度。【完】

あのクリスマスイブ以来、理人くんには連絡をしていない。

本当は謝りたかった。

6年前の真実に衝撃を受けたとは言え、あんな風に拒絶してしまったことを、彼に謝りたかった。

湊人くんが亡くなって、どんな気持ちでわたしに連絡をして来たのだろう。

そしてあの日、どんな想いでわたしに本当のことを話したのだろう。

胸が苦しくて仕方なかった。

理人くんの想いに応えたい。

わたしはまだ、彼に大事な言葉を伝えていない。

何度も何度もスマホを握りしめて、理人くんに連絡しようとした。

けれど……。

どうしてだろう。

理人くんと向き合うのが怖いのは。

それはわたしがまだ『鈴木くん』の半分である湊人くんの死を、ちゃんと受け入れていないから?

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