初恋をもう一度。【完】

「奈々ちゃん、久しぶり!」

「有希ちゃん! 元気だった?」

「元気! うちでこき使われてない? 大丈夫?」

「あはは、大丈夫」

今日は成人式。

数日前の天気予報では雪が降るかもなんて言っていたけれど、朝から気持ちいいくらいに澄んだ青空だった。

湊人くんが亡くなったのを知ってから、成人式に出るかどうか、ずっと迷っていた。

だって、彼を置いて大人になってしまう気がして。

でも、湊人くんの死を、わたしは受け入れなくちゃならない。

じゃないと、わたしは前に進むことができない。

あなたにちゃんとさよならを言わなくちゃ。


小中学生時代の懐かしい面々に再会した。

わたしは中学くらいまでとても内向的で交友範囲が狭かったし、同じ高校に進んだ女子も少ない。

その上、有希ちゃんを始め、高校を卒業して栃木を出てしまっている人が多いから、とにかくみんな久しぶりだった。

わたしはみんなに「すごく変わったね」と言われた。

みんなも変わった、とわたしは感じたけれど、それはあの当時、わたしがみんなを知らな過ぎたのかもしれない。

『鈴木くん』のことを、何一つ知らなかったように。
< 200 / 210 >

この作品をシェア

pagetop