初恋をもう一度。【完】
「奈々ちゃん、久しぶり!」
「有希ちゃん! 元気だった?」
「元気! うちでこき使われてない? 大丈夫?」
「あはは、大丈夫」
今日は成人式。
数日前の天気予報では雪が降るかもなんて言っていたけれど、朝から気持ちいいくらいに澄んだ青空だった。
湊人くんが亡くなったのを知ってから、成人式に出るかどうか、ずっと迷っていた。
だって、彼を置いて大人になってしまう気がして。
でも、湊人くんの死を、わたしは受け入れなくちゃならない。
じゃないと、わたしは前に進むことができない。
あなたにちゃんとさよならを言わなくちゃ。
小中学生時代の懐かしい面々に再会した。
わたしは中学くらいまでとても内向的で交友範囲が狭かったし、同じ高校に進んだ女子も少ない。
その上、有希ちゃんを始め、高校を卒業して栃木を出てしまっている人が多いから、とにかくみんな久しぶりだった。
わたしはみんなに「すごく変わったね」と言われた。
みんなも変わった、とわたしは感じたけれど、それはあの当時、わたしがみんなを知らな過ぎたのかもしれない。
『鈴木くん』のことを、何一つ知らなかったように。