初恋をもう一度。【完】
放課後は部活。
わたしは吹奏楽部に所属している。
と言っても、パートが打楽器だから、わたしは吹いて奏でる部活動はしていない。
最初はわたしだって、ちゃんと吹いていたのだ。
パートはクラリネットだった。
けれど、肺活量が無さすぎるのか、吹いているとたびたび酸欠で倒れてしまっていた。
諦めの早いわたしは、1年の夏にはもうクラリネットをやめて、打楽器に転向したのだった。
ポップスを演奏する時はドラムで、クラシックの時はティンパニを担当している。
6月の合唱コンクールの時に、わたし達吹奏楽部もなぜか演奏を発表するらしく、その曲のスコアを今日配布された。
他のパート(吹く楽器)の人達がある程度できるようになるまで、しばらくは個人練習だ。
ドラムだったら個人練習も楽しいけれど、今回はティンパニだから全然やる気が出ない。
どんな曲かもわからないのに、ティンパニの個人練習なんて、あまり意味がない気がする。
だって、ティンパニは曲をドラマチックに装飾するためにいると思うもの。
盛り上げる曲があってこそ、わたしの演奏もやっと色付くというものだ。
デンデン鳴るだけじゃ、正直モチベーションが全然上がらないし。