初恋をもう一度。【完】

「奈々ちゃん? いたっけそんな名前」

「田崎。田崎奈々だよ」

田崎奈々。

どうしよう、やっぱりわたしの名前だ。

鈴木くんが、わたしのことを可愛いって思ってくれてるなんて。

どうしよう……嬉しいけど、どうしよう!

「……ねえ、鈴木くんが言ったの、奈々ちゃんだよね?」

有希ちゃんが小声で言った。

「う、うん……そうみたい」

「……奈々ちゃんのこと、好きってことかなあ?」

「……わ、わかんないよそんなの……」

男子達の話は続く。

「あー田崎。地味だけどよく見ると可愛いよな」

「確かに。美少女だよな。でもオレ話したことないわ。てか湊人も田崎と話さなくない?」

「あー、話しかけようとすると、すげー緊張するんだよね」

「なにそれ、ガチで好きじゃん。告んないの?」

「あはは。いや、ほら俺、もう転校するじゃん?」

……え?

今、なんて言った?

転校する?

誰が?

鈴木くんが!?
< 49 / 210 >

この作品をシェア

pagetop