初恋をもう一度。【完】
「奈々ちゃん? いたっけそんな名前」
「田崎。田崎奈々だよ」
田崎奈々。
どうしよう、やっぱりわたしの名前だ。
鈴木くんが、わたしのことを可愛いって思ってくれてるなんて。
どうしよう……嬉しいけど、どうしよう!
「……ねえ、鈴木くんが言ったの、奈々ちゃんだよね?」
有希ちゃんが小声で言った。
「う、うん……そうみたい」
「……奈々ちゃんのこと、好きってことかなあ?」
「……わ、わかんないよそんなの……」
男子達の話は続く。
「あー田崎。地味だけどよく見ると可愛いよな」
「確かに。美少女だよな。でもオレ話したことないわ。てか湊人も田崎と話さなくない?」
「あー、話しかけようとすると、すげー緊張するんだよね」
「なにそれ、ガチで好きじゃん。告んないの?」
「あはは。いや、ほら俺、もう転校するじゃん?」
……え?
今、なんて言った?
転校する?
誰が?
鈴木くんが!?