初恋をもう一度。【完】
「あー、1学期終わったらだっけ……ってもうすぐじゃん」
1学期が終わったら!
もう、あと2週間ちょっとしかない。
鈴木くんが、いなくなる?
……本当に?
「そうそう。俺がいなくなったらサッカー部弱くなると思うけど、まあ頑張れよ」
「いや、まじでエース抜けるの困るんだけど」
「来年、湊人以外に誰が部長やるんだよー」
「あはは、頑張れー。てわけで、俺はこれから、弟を捕まえて一緒に荷造りしなきゃなの。そろそろ帰るよ」
席を立つ音がした。
きっと鈴木くんだ、まずい。
このままここにいたら、鉢合わせてしまう。
「有希ちゃん、逃げよう」
「え、え? なんで逃げるの? てゆーか私の水着……」
「いいから早く!」
だっていろいろ、心の整理ができていない。
鈴木くんが、わたしを好きかもしれないことも。
鈴木くんが、もうすぐ転校してしまうことも。
どんな顔して会えばいいか、全然わからないの。