初恋をもう一度。【完】
誰からだろう。
そわそわしながら昇降口を出て、いつもの通学路を歩いた。
外の日差しはとても強くて、ぽたぽたと汗が流れる。
でも、さっきの重い足取りが嘘のように、わたしは家へと急いだ。
『奈々ちゃんへ』って、もしかして……。
淡い期待が、わたしの足を急かすのだ。
「奈々おかえり」
家に着いたら、おばあちゃんが出迎えてくれた。
「奈々、おなか空いたべ?」
「ごめん、あとで食べるね」
着替えるのも忘れて、わたしは額の汗を拭いながら、真っ直ぐリビングへと向かった。
部屋の隅にあるデスクに腰掛けて、パソコンを立ちあげる。
「奈々、何してるん?」
そんなわたしの様子を不思議に思ったのか、おばあちゃんが覗きに来た。
「うん、ちょっと……」
さっそくそのディスクを挿入してみると、どうやら音声ディスクらしく、音楽プレイヤーが起動した。