初恋をもう一度。【完】
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さむっ……。
早朝の栃木駅のホームで、わたしは手を擦り合わせながら身震いしていた。
朝少し寝坊して慌てて家を出たら、マフラーと手袋を忘れてしまったのだ。
もう12月、寒いのは当たり前だけれど、今日は特に冷え込みが強い。
何故ホームが室内じゃないのだろう。
雨や雪は屋根で防げるけれど、寒さは凌げない。
栃木なんてそこそこ北にあるから、寒いに決まっている。
もう少し防寒対策したらいいのに、なんて自分が防寒し忘れたことは棚に上げて、頼りない屋根を忌々しく見上げる。
寒いなあ、早く電車来ないかなあ……。
鼻や耳まで痛くなってきた頃、やっと電車がホームに入ってきて、逃げ込むように乗り込んだ。