初恋をもう一度。【完】

ケータイが震えて、メッセージが届いた。

『奈々ちゃん、おはよー』

開けてみると、鈴木くんからだった。

「あれ、起きてたの?」

『朝までゲームしてました~。今日1限の日だよね?』

「そうそう」

『頑張ってね! ごめん、俺昼まで寝るー 笑』

「うん、おやすみ 笑 」


……ああ、そっか。

鈴木くんの近くに行きたい……確かにそう思うし、近いに越したことはないけれど。

よく考えたら6年前とは違うのだ。

あの頃のわたしはとても内気だったし、初めての恋に戸惑っていた。

結局ろくに話もできないまま、離ればなれになって終わった。

でも、今のわたし達は、昔とは違う。

あの頃より、たくさん話すようになった。

あの時よりも、ずっとずっと近い距離なのだ。

それにもう、栃木と東京くらいなら、会いたいと思ったら会える年齢だ。

きっと、物理的な距離なんて関係ない。

大切なのは、心の距離。


鈴木くん、再会したらちゃんと伝えます。

あなたのことが大好きです。

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