初恋をもう一度。【完】
「うん、ありがと」
『あ、そういえば奈々ちゃん、テスト勉強するんだっけ』
「そうなの、あさってからテストだから」
『薬学部とかテストめちゃくちゃ難そう』
「そうかなあ、建築学部の方が全然難しそうだけどな」
何気なく打った文章を送信ながら、あれ、そういえば鈴木くんはどうして建築に進んだのだろう? と少し疑問に思った。
確か中学の時、将来は医者になると言っていたような気がしたからだ。
まあわたしが直接聞いた訳じゃなく、教室で誰かと話しているのを小耳に挟んだだけだ。
でもよく考えてみたら、将来の夢なんて年齢と共に変わっていくものだ。
わたしだって当時は翻訳家になりたいと思っていて、なのに理系に進んで薬学部に入ったもの。