初恋をもう一度。【完】
『うーん、そんなことないよ』
「そっか。鈴木くん、昔から頭よかったもんね」
そう返すと、既読がついたものの、さっきまでのようにすぐの返信が来ない。
なにか変なことを言ってしまったのだろうか。
少し不安になっていたら、ケータイが震えた。
『頭だけじゃなくて顔もいいよ (うそです笑)』
冗談ぽいメッセージで安心した。
「鈴木くん、昔と結構変わった?」
『いや全然。あ、昔の俺、ちゃんと覚えてる?』
「もちろん覚えてる。鈴木くんは?」
『初恋の子の顔、忘れるわけないでしょ』
鈴木くんからの返事に、思わず頬が熱くなった。
サティをプレゼントされて、あの頃の彼の気持ちはわかっていたけれど、言葉にされるのは初めてだった。
あの夕日で薄赤く染まった第2音楽室にタイムスリップしたみたいに、胸が切なく軋む。