初恋をもう一度。【完】
「わたしも」
まるで6年前の自分に戻ったみたいにどうしようもなく戸惑いながら、その四文字を打って送信ボタンを押した。
鈴木くんはすぐに返事をくれた。
『うん、奈々ちゃんの気持ち、知ってた』
あの頃の気持ち、鈴木くんにちゃんと伝わってたんだ──。
嬉しくて、少し恥ずかしくて……けれど、何か足りなかった。
だって、鈴木くんのくれた言葉は、過去のわたしへの気持ちだ。
わたしの言葉もそう。
ねえ、今は?
わたしは今のあなたのことが大好きです。
今すぐにでも訊きたくて伝えたくて、でもぐっと堪えた。
今度こそちゃんと声にして直接伝えたい。
だから、会うまでは我慢する。
「知ってたんだ? なんか恥ずかしいな」
『それはお互い様 (笑) あのさ、奈々ちゃん』
「なに?」
『奈々ちゃんに会ったら、どうしても伝えたいことがあるんだ』
どうしても伝えたいこと……。
それは、わたしが欲しい言葉だって期待していいの?
「うん、じゃあ会いに来てくれるの待ってる」
どうしようもなく高まってしまった胸の鼓動は、鈴木くんとのやり取りを終えても収まらなかった。
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