初恋をもう一度。【完】

わたしは悩んだ末に、その気持ちを晃太くんに正直に話した。

「それでもいい。奈々ちゃんがほんの少しでもオレのこと好きなら、オレは一緒にいたい」

「だけど……」

「それにオレは、ソイツみたいにいなくなったりしない」

晃太くんのその言葉を聞いて、わたしは彼と付き合うことに決めたのだった。


晃太くんとの交際は、とても順調に続いた。

3年になっても、図書館で一緒に受験勉強をしたり、やるべきことはやって、でもたまにちゃんとデートしたりもして、いいお付き合いができていると思う。

鈴木くんのことは忘れられないし、もし会えるのなら会いたい。

けれど、鈴木くんはもういない。

それに、再会できたところで、わたし達はもうあの頃とは違うのだ。

わたしには晃太くんがいる。

いつもわたしの傍にいてくれる、優しい晃太くんのことが大好きだから。

鈴木くんのことは今度こそ胸に閉まって、わたしは前を向いて生きていこう、そう思った。
< 85 / 210 >

この作品をシェア

pagetop