初恋をもう一度。【完】
しかし、この一件以来、わたし達の間になんとなく変な溝ができていった。
晃太くんは相変わらず優しい、優しいけれど。
今までよりも距離を感じるようになったのだ。
会話も会う頻度もだんだんと減っていった。
それをわたしは佳境に入った受験のせいにしていたけれど、あとでよく考えてみたら、溝ができたのはわたしのせいに違いないと思った。
だって、卒業したら離ればなれになることを、わたしが選んだのだから。
オレはいなくならないよ、そう言ってくれた晃太くんの手を、わたしは自分から離そうとしたのだから。
3月、わたしは大学に受かって、晃太くんは落ちてしまった。
彼は浪人して予備校に通うことになったので、結局、離ればなれにはならなくなったけれど。
わたし達は別れる選択をした。
気持ちがすれ違ってしまったからなのか、それとも受験結果の明暗が分かれたせいなのか。
きっとどちらもだ。
初めての交際は、別れる理由なんて話もせず、「別れようか」「そうだね」で終わりを迎えた。