初恋をもう一度。【完】
誰がいなくなっても、わたしの日常は大きく変わることなく続いていく。
痛みや淋しさが簡単に癒えることはないのに、日常を生きていかなくてはならないのだ。
現実は少し残酷で厳しい。
祖母の件でいくつかのテストを受けられなかったわたしは、告別式が終わって早々、数日間追試とレポートに追われた。
心も体も疲れていて、少し休みたかったのに、あんまりだ。
鈴木くんとゆっくり話をしたかった。
けれど、忙しくてやり取りをする時間がない。
『淋しいよね。大丈夫?』
『ちゃんとごはん食べてる?』
『テスト頑張って』
『落ち着いたらゆっくり話そうね』
いつもより少ないメッセージの中で、鈴木くんはわたしをとても気遣ってくれた。
その度に「会いたい」という文字を打っては、それを何度も消して、「ありがとう」や「大丈夫」と打ち直して送った。