初恋をもう一度。【完】
テストもろもろが終わって、わたしはやっと冬休みを迎えた。
12月23日。
世間はもう、クリスマス目前だった。
かなり疲れていたのか、随分長く眠りこけて、起きたら昼過ぎだった。
シャワーを浴びて食事をとったあと、久しぶりに自宅のリビングにある電子ピアノの前に座った。
わたしは昔から何かあると、ピアノを弾いて心を落ち着かせる習慣がある。
祖母が亡くなって、心にぽっかり空いてしまった穴をどうにもできず、無性にピアノを弾きたい衝動に駆られた。
でもお葬式直後に再試やらレポートやらでバタバタし過ぎて、そんな時間も取れずにいたのだ。
ようやく触ることができた鍵盤を適当に鳴らしながら、何を弾こう、と考えていたら、ふと祖母の顔が浮かんだ。
祖母のぷくぷくした手が奏でる、たどたどしいきらきら星が、わたしは大好きだった。
「きーらーきーらーひーかーるー」
かつて祖母とそうしたように、口ずさみながら「ドドソソララソ」と鳴らしたら、自然に涙が溢れた。
おばあちゃん、この曲一人で弾いても、全然きらきらしないよ。