僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
3 凛子side 若頭を任ずる
悠斗が盃を請けて数日後。
親父があたしを部屋に呼びつけた。
総長の部屋に入れる者は限られている。
組の幹部でも数人しかいない。
娘のあたしも総長の部屋には、数えるほどしか入ったことがない。
床の間には掛け軸が飾られている。
金箔銀箔も使い色鮮やかな色彩で描かれた「花鳥風月」は、数百万はするだろう。
床の間に置かれた花瓶も、柿右衛門の手による1点ものだと聞いている。
「お嬢。総長の部屋に入る時は、普段着など御法度です。礼服か正装でお入りください」
いつだったか副総長に言われ、あたしは言われた通りにしている。
この日もあたしは黒のスーツで部屋に入り、親父の前に正座した。
「凛子。返事、聞かせてくれるか」
「あたしは親父の策に異論はない」
「後悔しねえな」
「あたしより……悠斗が良いと言うなら」
親父があたしを部屋に呼びつけた。
総長の部屋に入れる者は限られている。
組の幹部でも数人しかいない。
娘のあたしも総長の部屋には、数えるほどしか入ったことがない。
床の間には掛け軸が飾られている。
金箔銀箔も使い色鮮やかな色彩で描かれた「花鳥風月」は、数百万はするだろう。
床の間に置かれた花瓶も、柿右衛門の手による1点ものだと聞いている。
「お嬢。総長の部屋に入る時は、普段着など御法度です。礼服か正装でお入りください」
いつだったか副総長に言われ、あたしは言われた通りにしている。
この日もあたしは黒のスーツで部屋に入り、親父の前に正座した。
「凛子。返事、聞かせてくれるか」
「あたしは親父の策に異論はない」
「後悔しねえな」
「あたしより……悠斗が良いと言うなら」