僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
零れたビールの匂いが広がる。

俺は捻った手を締め上げる。

暴れていたホストが呻き声を上げ、逃れようともがく。

俺は彼の腕をさらに締め上げた。

低く鈍い音がし、彼が腕を押さえ呻きながら床に倒れ悶絶している。

「腕、腕が……腕がーー」

「喚くな。お前、ヤクを吸っているだろう。物は何処から手に入れた?」

悶絶する彼の耳元で呟くと、彼の放つ空気が明らかに変わった。

「腕の手当てはしてやる。着いてこい」

急に大人しくなった彼が、顔をしかめながら立ち上がり、俺の指示に従う。

背中に黙って着いてくる彼の気配と、周囲のヒリヒリする視線も感じた。

「お騒がせして申し訳ありませんでした。すぐに片付けますので」

俺は後ろを振り返り、客に深々と頭を下げた。

店長は相変わらず、ソファーの影に座りこんだままだ。

「店長、あとお願いしますね」
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