僧侶とホストと若頭、3つの顔に揺れる恋
「梁瀬隊長、いい人だったんすけどね。楽しくて」

「今日、悠斗は?」

「若頭は姐さんのお供で出かけられてます」

「またかよ。悠斗は明け方に帰ってきて、神社のお勤めにも……あいつ、ほとんど寝てないんだぜ」

「そうなんすか? すっごい爽やかな顔なさってましたよ」

「なんの用事で悠斗をお供に?」

「たしか、着物の見立てに行きなすったんじゃねえですか」

和服姿の悠斗を想像した。

たしかに見映えするだろうし、おふくろが連れて歩いて違和感はないだろう。

でも、悠斗はあたしの婚約者だ。

まだ公表はしてないけれど、あたしの婚約者なんだ。

やけにおふくろの、女将のお供が多くないか。

あたしの悠斗だということ、おふくろは親父から聞いているだろうに。

なんだかムシャクシャする。
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