恋は高校受験より難しい
【ドンドンドンドンドン!】

弟が自分の部屋をたたく音で目が覚めた。

「恋海!ご飯!!」

「ふぁぁぁい」

あくびなのか返事なのかわからないような声を出しながら ん〜と1回伸びをする。

下に降りると今日は私の大好きな唐揚げだった。

「わぁぁぁ!おいしそっっっ!いただきまぁぁす!」

そう言って唐揚げを取ろうとした時。

お父さんがいつもよりちょっと低い声で
「恋海。」
と言ってきた。

私は取ろうとしていた唐揚げを取らずに箸を置いた。

「なぁに?」

いつもと様子が違うのは分かってたけどいつもお父さんと話す感じで聞いてみた。

「テスト結果返ってきただろ」

「帰ってきたね」

「なんでお母さんにも見せてないんだ」

「悪かったから」

「悪くても見せるのが決まりだろ。いいから持ってきなさい」

「はぁい」

渋々自分の部屋に戻ってベットの上に放置していたテスト結果を持って下に降りる。

「はい。」

食卓には紙が擦れ合うカサカサという音だけが響いた。

しばらくして母がその沈黙を破る。

「どうせ悪いんだから私見なくていいわ
お父さんが見てハンコ押して学校に出して」

あまりにも酷い言い方だと思った。けど……、
こうなったのは自分のせいだ。

「塾に通うか」

お父さんが少しふんわり慰めるように優しく話しかけてくれた。

「塾……?」

「そうそう、あのスーパーの近くにあってさ
星宮塾って言うんだけど」

「考えてみる……」

まだ、テスト結果から立ち直れない私は塾のことなんか考えられない。
てか、ぶっちゃけ行きたくない。

すると……

「考えてみるじゃないでしょ?なんでそう初めから諦めるの!」

でたよ……母からのお説教。

「もーうるさいなぁ 行くってば!!」

自分が悪いってわかってるのにこういう言い方しか出来ない自分が子どもだと思うし情けない。
私はその場にいるのが気まずくなりごちそうさまも言わずに自分の部屋に戻った。
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