Last note〜特性を持つ者へ2
「青山、さっきの子、"エナ"に似てないか?」

男湯の暖簾をくぐり抜けた時、
ふと廣瀬がそんな言葉を零した。

「え?あぁ、確かに似てたかも。
雰囲気とかちょっと気が強そうな感じが…」

"エナ"とは、高校時代の廣瀬の彼女だった女で、その子も特性持ちだった。

「それだけならいいけど…」

廣瀬の口からあの名前が出たのは珍しい。
なんせ、あまり"エナ"とはいい思い出はなくむしろ良くないのがほとんど。

「ほら、脱げよ。」

気にかける廣瀬の浴衣を背後から思い切り脱がした。ガタイの良い背中が露わになり肩甲骨がセクシーだ。

「やめろ!変な目で見られる!」

周りの目に焦って俺の手を跳ね除けて来たから笑えた。

「廣瀬が浴衣着ると、変にエロいんだよー!」

俺はふざけながらそそくさと温泉へ繋がるドアを開けて湯に浸かった。
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