僕は平日に死ぬ
小枯らす
お酒の匂いと男女の匂いがする。
狭く、冬だというのに暑苦しいような息苦しいような。
触れようと触れようとする男共とは裏腹に、
警戒心の薄い女共はお酒を注がれ、飲み、注がれ、飲み。
男共は男共でこれまたバカで、
女共がブランドものの財布に目を奪われていることに気づいていない。
男3女2
開幕早々、傍観者になってしまった僕は世の中の世知辛さを痛感していた。
よーく知っている人達なのにその時は全く知らない人になる。
そのほうがいいのだろうか。
そうやって目をギラギラさせればいいのだろうか。
そうやって頬を赤らめればいいのだろうか。
暑苦しさはこの場への居づらさに働きかけた。
「トイレ」
とだけはき、返ってこない返事を待ちつつ外へ出た。
すると無性に首に縄をかけたくなった。
かけてみたくなった。

日曜日の夜。
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