男子嫌いの夕ちゃんは、幽霊(男)と恋に落ちた!?
『あの…さ』
気まずそうな顔をして幽霊さんは私に言う。
『何ですか?』
『俺達…友達ですよね?』
『はい!勿論です!』
なんだ、そんな事か…と安心しつつも笑顔で私は答える。
『だったら…その…お願いを2つ、聞いてもらっても良いですか?』
『お願いって何ですか?
聞いてみないと叶えられるか分かりません』
私は正直に何でも叶えられはしない事を言う。
『じゃあ、話します。
俺のお願いは…まず、敬語やめて下さい』
『え…?』
私は驚いて固まった。
そう言えば、あの時は思いが重なりすぎて、思わず敬語をやめてしまったけど、今は何だかんだで私達二人は敬語を使い合っていた。
『何か…その…他人行儀感を感じるって言うか…寂しいです…友達だし…その…』
たどたどしくそう言う幽霊さんの顔は悲しそうな表情をしていた。
『そんな願いなら叶えます!
あ、間違えた…
叶えるよ?…敬語をやめるとしたらこうなるかな?…』
私は希望にそぐわなかったかもしれないと、少し不安になりながらも、そう聞き返した。
『…う…嬉しい!…ずっとこうしてて下さい!』
そう言う幽霊さんの顔は満面の笑みで、ちょっぴり可愛く見えた。
『はい!…あ、じゃなくて…うん!!』
思わずくせで敬語が出てしまったけれど、少しずつ慣れていこうかな、なんて思ってみたり。
『後、二つ目は…
名前を教えて下さい!』
『え…あ、そっか、名前、知らないもんね!
私の名前は…夕だよ。
夕焼けの夕!』
『夕焼けの夕…素敵で綺麗な名前ですね!』
と、感嘆の息を漏らしながら幽霊さんは言う。
『ありがとう…』
私は少しばかり恥ずかしくなって照れながら笑う。
『あ、あのさ…』
『何でしょうか?』
そう言う幽霊さんの顔はキラキラしていて、言うのが気が引けたけど…
『私も同じ願いを叶えて!』
言い切った。
『同じ…願い…?』
だけど、上手く伝わらなくて、幽霊さんはきょとんとする。
『だから…その…敬語やめて…名前、教えて?』
恥ずかしかったし、ワガママじゃないかな?何て気にしながら私は言った。
『え…良いの?』
幽霊さんは驚いたように顔を少しずつ明るくさせた。
『え…?』
私は意味が分からず、きょとんとする。
『俺…本当はそうしたかった…だから…嬉しい!』
その笑顔にときめいたのは幽霊さん…いや、“(れい)”には秘密。
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