男子嫌いの夕ちゃんは、幽霊(男)と恋に落ちた!?
『ガラガラガラ…』
教室のドア特有の音を鳴らしながら私はドアを開けた。
『あ、有った…』
私は自分の机の中の忘れていたプリントを取り出す。
学校に宿題のプリントを忘れてどうするんだと思いながら、私はお気に入りのファイルにしまった。
すると…
『あ、あの…忘れ物…』
私はその声に反応して震えながらもゆっくりと振り返った。
『…』
怖くて声が出なかった。
まるで怖い人に誘拐された子供のように、私は恐怖で声が出なかった。
『ひっ!!』
目線が合ってしまった。
普通は私がこんな声をあげる所だけど、何故か彼が声をあげた。
『そ…その…懐中電灯…オトシテマシタよ?…』
恐怖で声が裏返ってカタコトに成ったのか、懐中電灯を持ちながら彼はそう言った。
そう、彼はあの時の幽霊だった。
『それ…私の…?…』
私は何とか声を振り絞ってそう言った。
そう、彼が持っている懐中電灯は、昨日の私が置いていった物にそっくりだったのだ。
『そうだよ…』
彼はそう言うと懐中電灯を一番端の机の上に置いた。
『さっ、サヨウナラッ!?』
私が一歩何とか近付くと、そう言って彼はあの時の教室の方へと消えていった。
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