契約結婚なはずの旦那様に気づけばグイグイ迫られてます。
腹ボテで実家に帰った母はそこでリーシャを産んで体調が落ち着くまではそのままそこで過ごし、その後は近くにアパートの一室を借り仕立ての仕事について女手一つでリーシャを育ててくれた。

環境が変わったのはリーシャが5才の時。
母が結婚をし、リーシャには一気に父親と弟が出来た。

「レオ大丈夫かな?寝込んでないといいけど」

血の繋がらない義理の父親と弟。
だけど父親はリーシャを「我が家のお姫様」と言って可愛がってくれていた。もう血の繋がった実の母よりも激甘だった。
生まれつき持病を持つ弟も少々シスコン気味なくらい懐いてくれていた。

平穏で、幸せな毎日で。
ずっとそれが続くものと思っていた。

だけど母だけはもしかしたら予感していたのではないだろうか。

伯爵家に引き取られて、すぐにそう気づいた。

物心つくなり口うるさく感じるほどに叩き込まれたマナーに文字の読み書き。
刺繍に裁縫にお茶の淹れ方。

ある程度文字が読めるようになったら早朝から馬車で半日離れた先の少し大きな町にある図書館に連れて行かれては机に山盛りの本を読まされた。

国の歴史から茶葉の産地、服飾や音楽、絵画の専門書。
やたら小難しい本もあれば他愛ない子供向けの物語もあった。

10才になれば町の修道院に手伝いに行かされて、食事の支度を手伝う代わりにと元は貴族の夫人だったというマザーからヴァイオリンとダンスを教わるようになった。
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