無気力な神矢くんのお気に入り(断固拒否)
「なんでわざわざ!!離れてよ!!」
「言って。僕の顔見ながら」
「はあ……?」
ちらりとコイツと目と目を合わせる。
色素の薄い茶色い瞳にわたしがうつっている。
まるで吸い込まれそうな水晶に一瞬うろたえた。
「…………か、神矢頼……」
これ以上近くにあると変にドキドキしてしまうので彼の胸をどんと押した。
「こ、これでいい!?」
神矢くんがなにを考えているのかまったくわからない。
「…………んー、よくないけどまあいいや今は」
今は……という言葉に一瞬引っ掛かったが、特に気にとめず、今度こそわたしは朝のことの謝罪を求めた。
「よりによって風見先輩の前でよくあんなこと言ってくれたよね!!」
ほかの人でももちろん嫌だけど、
好きな人に見られたことがこの上なく恥ずかしかった。