気がつけば、恋のはじまり
「安心しろ。有島さんには人間的に惚れただけ。女としては、おまえのことしか好きじゃない」

「・・・っ、別に・・・」

「ああ、けど、おまえには惚れ直したかな。寝顔があんまりかわいくて」

「っ、は、はあっ・・・!?」

ついに私は、ベッドの上から飛び降りた。

そして、パイプ椅子に座って私を見上げる宮本くんを、仁王立ちでキッ!と睨んだ。

「そういうこと、平気な顔で言わないで!!」

「あ?平気な顔って・・・。まあ、思ってること普通に言っただけだしな」

「~~~っ」

ぐっと私は押し黙る。次の言葉が見つからない。

のぼせる顔で口をパクパクしていると、宮本くんはふっと笑った。

「怒った顔もかわいいぞ」


(・・・!)


「もう・・・!いいかげんにして・・・っ!」

恥ずかしくて、取り乱すように後ろを向いた。

真っ赤な顔も動揺も、真正面から見られたくない。

「・・・芹澤」

ギイッと、パイプ椅子の鳴る音がした。

背後に気配を感じると、宮本くんは腕をつかんで私のことを振り向かす。


(・・・っ!)


「怒んなよ。褒めてんのに」

そう言って、うつむく私の顔をのぞき込む。

間近になったその距離に、一気に頬が熱くなる。
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