魔法の鍵と隻眼の姫
政務室で机に伏していた王が目覚め辺りを見回す。

今は何日で何時なのか?
モリスデンは鍵を見つけ出すことが出来たのか?

額に手を当て、ゆっくり首を振る王はハッと我に返り立ち上がった。

「サリア!サリアは無事か?セイラス!トニアス!」

後宮へと急ぎ自室へ駆け込む。
ソファーの上で目を覚ます王妃。

「あ…アルトバル…どうしたの?」

何が起こっているのかわからない様子。
王妃は無事だった。
ホッとすると今度は子供たちが気になる。

あの子たちはきっとあそこだ。

王妃を伴い足早に奥へと進む。
廊下で侍女や召使が目を覚ましなぜ寝ていたのか首をひねる。

後宮の最奥、大きな扉を開けた。
そこは天井にステンドグラスを施した大きな温室。
木々や花々が生い茂り、その真ん中で3人掛けのソファーで肩を寄せ合い寝ている我が子達。
微笑ましい光景に王妃は目を細める。
心配そうに王は声を掛けた。

「セイラス、トニアス、…ミレイア…」

「ん…おとうさま…」

「んん?僕たち…」

「あれ?…父上、母上、どうしました?」

目を覚ましたセイラスは起き上がりあくびをする。
トニアスも寝ぼけ眼だ。

綺麗な紫の瞳を開けたミレイアは王を見つけると立ち上がり抱き着いた。

「ああ、ミレイア、無事でよかった」

抱きしめる王に王妃は寄り添いミレイアの頭を撫でる。

「お父様お母様どうしたの?」

不思議そうに見上げる娘を愛おしげに見つめる王と王妃。

「何でもないよ、お前たちの顔を見たかっただけだ」

「父上、母上」

セイラスが心配そうに立ち上がる。

「大丈夫だ、セイラス。お前たちが一緒にいてよかった」

モリスデンの魔法の事は他のものには話していない。
余計な混乱を招かないためだ。
しかし、魔物が動き出すかもしれないと、魔物がひそむ森付近は憲兵隊などを配置していた。
後は彼らが無事に魔物を追い払ってくれればよいが…。


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