魔法の鍵と隻眼の姫
「さあ、ミレイア、何も心配要らないよ。ゆっくりお休み」
ベッドに寝かせ安心したように眠るミレイアを何度も撫でた後、手の傷を手当てしたセイラスはこの上なく甘い顔をミレイアに向ける。
「お前達ってほんとに兄妹か?兄妹以上のなんか感じるぞ?」
体が思うようにいかないラミンはベッドの傍らにあるトランクに背を預け座り込むと二人を見ていてなんだか面白くない。
「兄妹だよ僕達は。ミレイアを心から愛している」
恥ずかしげもなくそう言うとセイラスはミレイアの額にキスをした。
「おい…」
見せつけてくるセイラスに渋面のラミンがそっぽを向く。
ニヤリと笑ったセイラスはベッドに腰掛けミレイアの頬を撫でる。
「これくらい君には何てことないだろう?これでもかというくらいミレイアの前でキスシーンを見せつけて惚気てたんだから」
「は?」
驚くラミンを横目で見やりまたミレイアをいとおしげに見つめる。
「ミレイアを蔑ろにするくらいあの人のことが好きだったんだろう?いいのかい?全て君の記憶を消してしまって」
「お前…まさか見てたのか俺達の道中全て」
「…見ていたよ。心配だからね?モリーに頼み込んでこっそりと」
「何だよ、全てお見通しってか?さぞ滑稽だったろうよ。皆俺の不甲斐なさに呆れてただろ?」
チッと舌打ちをしたラミンは頭をがしがしとかき回し項垂れた。
その様子を面白そうに見ているセイラス。
「見ていたのは僕とモリーだけだよ。モリーはさすがに呆れていたけどね?あんなの父上達には見せられない。余計心配するからね。トニアスなんて今日のことを知ったら烈火のごとく怒るだろう。だから連れてこなかった」
ミレイアのこととなると直ぐに目くじら立てるトニアスのことだ、まさに更なる修羅場が待ってただろう。この場に居なくてホッとする。
「お前は随分と冷静なんだな?」
「僕?そうだね…。ミレイアにはミレイアの人生があり試練がある。それはミレイアが選び進む道だ。いくら兄妹でも愛していても手を出してはいけないと思うんだ。もちろん助けを呼べば直ぐに何処でも飛んでいくけど」
「おにいさま…」
寝ているミレイアがうわ言のように言い手を浮かせる。
その手を取ったセイラスは手の甲にキスをして頭を撫でてやった。
「僕はここにいるよ。大丈夫。傍にいるよ」
すぅっとまた眠りに入るミレイアを見つめていると痛い視線が突き刺さる。
見るとラミンが細目で睨んでくる。
「ふーん、お前ら一生結婚出来なさそうだな…」
俺が言うのもなんだが…。
何だか悔しくてそんな事を呟くとセイラスがくすりと笑った。
「何?やきもち妬いてるの?プレイボーイのラミンらしくないね?」
「うるせえ…」
図星を突かれ不貞腐れるラミン。
兄妹愛であっても面白くないラミンは自分の気持ちに気付きつつあった。
この不確かな感情はこの先どうなっていくのか…。
「フフっ残念だけど、僕には愛する婚約者がいるよ。世界が救われた暁には結婚しようと約束している」
意外にもミレイアを溺愛してるくせに婚約者がいると言う。
まだミレイアとは会わせていないが心優しい彼女はセイラスの妹は自分の妹でもあるから大切にしたいと言ってくれている。ミレイアもお姉さまが出来ると喜んでいるそうだ。
「シスコンかと思いきや案外普通の兄なんだな?」
「家族としてミレイアを愛しているよ。でも恋愛とは違う。トニアスは……分からないが」
憂い顔のセイラスは、ことごとく縁談を断り、ミレイアに思い入れを強めるトニアスを気にかけていた。
この旅が終わればミレイアは…。
ベッドに寝かせ安心したように眠るミレイアを何度も撫でた後、手の傷を手当てしたセイラスはこの上なく甘い顔をミレイアに向ける。
「お前達ってほんとに兄妹か?兄妹以上のなんか感じるぞ?」
体が思うようにいかないラミンはベッドの傍らにあるトランクに背を預け座り込むと二人を見ていてなんだか面白くない。
「兄妹だよ僕達は。ミレイアを心から愛している」
恥ずかしげもなくそう言うとセイラスはミレイアの額にキスをした。
「おい…」
見せつけてくるセイラスに渋面のラミンがそっぽを向く。
ニヤリと笑ったセイラスはベッドに腰掛けミレイアの頬を撫でる。
「これくらい君には何てことないだろう?これでもかというくらいミレイアの前でキスシーンを見せつけて惚気てたんだから」
「は?」
驚くラミンを横目で見やりまたミレイアをいとおしげに見つめる。
「ミレイアを蔑ろにするくらいあの人のことが好きだったんだろう?いいのかい?全て君の記憶を消してしまって」
「お前…まさか見てたのか俺達の道中全て」
「…見ていたよ。心配だからね?モリーに頼み込んでこっそりと」
「何だよ、全てお見通しってか?さぞ滑稽だったろうよ。皆俺の不甲斐なさに呆れてただろ?」
チッと舌打ちをしたラミンは頭をがしがしとかき回し項垂れた。
その様子を面白そうに見ているセイラス。
「見ていたのは僕とモリーだけだよ。モリーはさすがに呆れていたけどね?あんなの父上達には見せられない。余計心配するからね。トニアスなんて今日のことを知ったら烈火のごとく怒るだろう。だから連れてこなかった」
ミレイアのこととなると直ぐに目くじら立てるトニアスのことだ、まさに更なる修羅場が待ってただろう。この場に居なくてホッとする。
「お前は随分と冷静なんだな?」
「僕?そうだね…。ミレイアにはミレイアの人生があり試練がある。それはミレイアが選び進む道だ。いくら兄妹でも愛していても手を出してはいけないと思うんだ。もちろん助けを呼べば直ぐに何処でも飛んでいくけど」
「おにいさま…」
寝ているミレイアがうわ言のように言い手を浮かせる。
その手を取ったセイラスは手の甲にキスをして頭を撫でてやった。
「僕はここにいるよ。大丈夫。傍にいるよ」
すぅっとまた眠りに入るミレイアを見つめていると痛い視線が突き刺さる。
見るとラミンが細目で睨んでくる。
「ふーん、お前ら一生結婚出来なさそうだな…」
俺が言うのもなんだが…。
何だか悔しくてそんな事を呟くとセイラスがくすりと笑った。
「何?やきもち妬いてるの?プレイボーイのラミンらしくないね?」
「うるせえ…」
図星を突かれ不貞腐れるラミン。
兄妹愛であっても面白くないラミンは自分の気持ちに気付きつつあった。
この不確かな感情はこの先どうなっていくのか…。
「フフっ残念だけど、僕には愛する婚約者がいるよ。世界が救われた暁には結婚しようと約束している」
意外にもミレイアを溺愛してるくせに婚約者がいると言う。
まだミレイアとは会わせていないが心優しい彼女はセイラスの妹は自分の妹でもあるから大切にしたいと言ってくれている。ミレイアもお姉さまが出来ると喜んでいるそうだ。
「シスコンかと思いきや案外普通の兄なんだな?」
「家族としてミレイアを愛しているよ。でも恋愛とは違う。トニアスは……分からないが」
憂い顔のセイラスは、ことごとく縁談を断り、ミレイアに思い入れを強めるトニアスを気にかけていた。
この旅が終わればミレイアは…。