魔法の鍵と隻眼の姫
「どうじゃ、落ち着いたかの?」

テントに入ってきたモリスデンの周りにはノニが飛んでいた。

「ノニ!お前何処に行ってたんだ?」

ノニがラミンの前に飛んでいくと立て膝に上に留まり何かを訴えてくる。
??
何を言いたいのか分からないラミンが首を捻る。

「ノニはあの娘に頼まれた男に囚われ妖精を閉じ込めるかごに入れられておった。
荷物の下に隠されて、全く酷いことをするもんじゃ」

憤慨するモリスデンに申し訳ない思いのラミンはノニに謝った。

「悪かったなノニ。みんな俺のせいだ。アマンダを責めないでやってくれ」

ブンブンと首を振るノニはにっこり笑ってラミンの前をクルクル回る。

「なんだ、捕らえた男はノニを気遣い水や果物を持ってきてくれたそうじゃ。案外快適だったと言っておる。呑気なものだなノニよ」

ノニの言ってることがわかるらしいモリスデンはそう言うとふんと鼻を鳴らした。

「そうか…良かった」

ホッとしたラミンを見てうんうん頷くとノニはミレイアの傍に飛び降り心配そうにペタペタと頬を触る。

「大丈夫だよ。ミレイアは寝ているからそっとしてあげて?」

セイラスが優しく言うとうんうん頷いてミレイアの髪の中に隠れた。

「さて、ではミレイアの封印をするか」

「封印?」

モリスデンが徐にローブの中に手を突っ込み取り出したのはあの眼帯。

「それ切り裂かれた…」

「これは新たに作ってあったものじゃ。石は替えが利かないから拾って来た。この石に封印の魔法を施し取り付ける」

モリスデンは手に持った眼帯に石を取り付けると何かを唱え始めた。

「ラミン、何故あの眼帯が必要かわかるかい?」

セイラスが静かに問う。

「あの、黒い霧を閉じ込めるため?」

「そう。その霧は何だと思う?」

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