魔法の鍵と隻眼の姫
「王、こちらにおいででしたか」

開いていた扉から入ってきたのは宰相のドリスター公爵。
細身で薄いグレーの髪。深いブルーの目にはモノクルをはめている。
汗を拭き、神妙な面もちで前へと進む。

「王、モリスデン殿が戻ってまいりました。その、鍵を連れて…」

「なんと!そうか!よし、モリスデンは今どこに?」

「は、はい、いま、謁見の間におりまする。しかし…」

歯切れの悪いドリスター公爵は青い顔をしている。

「なんだ、何かあるのか?なぜ謁見の間などにいる?」

いつもモリスデンと会うときは政務室か自室で、かしこまって謁見の間で会うことはなかった。

「それが、連れてきた鍵と申す者が、その…私の愚息でして…」

「何?」

ハインツ・ドリスターの息子は二人いて、一人は病弱で家をあまり出ないセイラスと同い年の弟と、傭兵をしているという長男の二人。長男の方は勘当しているとドリスターは言っていた」

「鍵は、そんな近くにあったのか?そなたの息子が鍵を持っているとは…とにかく、会ってみよう」

皆を引きつれ謁見の間へと急ぐ。
不安そうにしているミレイアの手を二人の兄が引いている。

謁見の間の前。

「まずは父とセイラスが会おう。お前たちはそこで待っておれ」

頷く王妃とミレイア。トニアスは守るように二人の前に立つ。
セイラスと目配せをすると王は扉の前に立った。
それを合図に両脇に控えていた兵が扉を開ける。

目の前に立っていたのは・・・




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