魔法の鍵と隻眼の姫
それから5日間ひたすら山道を突き進み魔物と遭遇しながらも無事シエラ王国付近までたどり着いた。
予定よりも2日早く強行スケジュールだったがみんな疲れも見せず元気だ。
ここはかつてラミンがシエラ王国の傭兵として仲間と共に守っていた国境。
黒い雲の影響もものともせず豊かな森が鬱蒼と繁り動植物を育み貴重な資源となっている。
それを狙い近隣諸国から狙われ常に戦場と化していた。
すぐそこには何人たりとも入れないとでもいうような強固な塀が見えた。
思えばこの森に続く向こうにはモリスデンのいる最終目的地の迷いの森がある。
少なからずモリスデンの加護があるのかもしれない。
1年ほどこのシエラ王国にいたのに俺を見つけられなかったのだからジジイもたいしたことないな、こんなに近くにいたのに。それとも俺の隠れかたが上手かったか?
そんな事を思いほくそえんだラミン。
ぶへ~っくしょいっ!
どっからともなくくしゃみが聞こえた気がした。
一瞬キョロキョロと辺りを見回したラミンは首を捻りながらももう一度高い塀を見た。
今は戦はしてないようで静かな門前に兵が二人構えている。
あの門からしか国に入ることができない。
「よし、行くか」
一声かけると前に座るミレイアが言葉もなくこくんと頷く。
それを見てラミンはウォルナーを走らせた。
「待て、何者だ?」
検問前に行くと兵士の一人に止められる。
馬上に乗るは不審なフードを被った二人。
今は落ち着いてるとはいえいつまた戦が始まるかわからない。
敵国のスパイを入れるわけにはいかない兵士は槍を構えながらギラリと睨み上げる。
「お前、デスタじゃないか」
馬上から名前を言われ怪訝な顔をする兵士。
後ろに乗る人物がフードを取るとそこには見覚えのある白銀の髪、ブルーグリーンの瞳が自分を捉える。
「お、おまっ!ラミンじゃないか!」
驚き目を丸くするデスタ。
つい最近まで前線で共に戦っていたラミンが目の前にいる。
「ラミン!元気にしてたか!?急に国王の命令で使いに出されたって聞いていたが無事戻ってきたんだな?心配したぞ?」
「は?あ、ああ…」
国王の命令?
あの日、戦場で突然モリスデンに連れてかれたから失踪してると思われてるんじゃないかと思っていたが、何の事だかわからないラミンは曖昧に返事をする。
「王の客人を連れて来るお役目だったそうだがその前に座っておられる方か?なぜ馬車じゃないんだ?」
「え?いや、こいつは…」
困った、ミレイアを国王に合わせるどころかここで正体がばれたら何が起こるかわからない。
何と言い訳してここを乗り切ろうか思案するラミンはミレイアがスッと背筋を伸ばしたのが分かった。
「そうです。私はノアローズ王国の使いの者。国王様にお目通りを」
「か、かしこまりました。ご案内いたします」
フードを下ろし威厳のある堂々とした口ぶりに畏まったデスタは馬車を用意しようか尋ねたが断られ、案内するための馬を用意しに行った。
「お前、国王に会うなんて自殺行為だぞ?災いをもたらす王女だと分かれば捉えられかねない」
「ラミンまでそんなことを言うのね?悲しいわ…」
「そうじゃなくてだな…!?」
災いの王女なんてこれっぽっちも思ってない!思ってないが、世間はそう思ってない。
アマンダがいい例だ。
半分俺のせいもあるが……。
ラミンの心配をよそにつんと済ましたミレイアにこんこんと説教をしたいところだったが。
「お待たせいたしました」
馬に乗って戻って来たデスタに言葉は止まり促されるままついて行く。
予定よりも2日早く強行スケジュールだったがみんな疲れも見せず元気だ。
ここはかつてラミンがシエラ王国の傭兵として仲間と共に守っていた国境。
黒い雲の影響もものともせず豊かな森が鬱蒼と繁り動植物を育み貴重な資源となっている。
それを狙い近隣諸国から狙われ常に戦場と化していた。
すぐそこには何人たりとも入れないとでもいうような強固な塀が見えた。
思えばこの森に続く向こうにはモリスデンのいる最終目的地の迷いの森がある。
少なからずモリスデンの加護があるのかもしれない。
1年ほどこのシエラ王国にいたのに俺を見つけられなかったのだからジジイもたいしたことないな、こんなに近くにいたのに。それとも俺の隠れかたが上手かったか?
そんな事を思いほくそえんだラミン。
ぶへ~っくしょいっ!
どっからともなくくしゃみが聞こえた気がした。
一瞬キョロキョロと辺りを見回したラミンは首を捻りながらももう一度高い塀を見た。
今は戦はしてないようで静かな門前に兵が二人構えている。
あの門からしか国に入ることができない。
「よし、行くか」
一声かけると前に座るミレイアが言葉もなくこくんと頷く。
それを見てラミンはウォルナーを走らせた。
「待て、何者だ?」
検問前に行くと兵士の一人に止められる。
馬上に乗るは不審なフードを被った二人。
今は落ち着いてるとはいえいつまた戦が始まるかわからない。
敵国のスパイを入れるわけにはいかない兵士は槍を構えながらギラリと睨み上げる。
「お前、デスタじゃないか」
馬上から名前を言われ怪訝な顔をする兵士。
後ろに乗る人物がフードを取るとそこには見覚えのある白銀の髪、ブルーグリーンの瞳が自分を捉える。
「お、おまっ!ラミンじゃないか!」
驚き目を丸くするデスタ。
つい最近まで前線で共に戦っていたラミンが目の前にいる。
「ラミン!元気にしてたか!?急に国王の命令で使いに出されたって聞いていたが無事戻ってきたんだな?心配したぞ?」
「は?あ、ああ…」
国王の命令?
あの日、戦場で突然モリスデンに連れてかれたから失踪してると思われてるんじゃないかと思っていたが、何の事だかわからないラミンは曖昧に返事をする。
「王の客人を連れて来るお役目だったそうだがその前に座っておられる方か?なぜ馬車じゃないんだ?」
「え?いや、こいつは…」
困った、ミレイアを国王に合わせるどころかここで正体がばれたら何が起こるかわからない。
何と言い訳してここを乗り切ろうか思案するラミンはミレイアがスッと背筋を伸ばしたのが分かった。
「そうです。私はノアローズ王国の使いの者。国王様にお目通りを」
「か、かしこまりました。ご案内いたします」
フードを下ろし威厳のある堂々とした口ぶりに畏まったデスタは馬車を用意しようか尋ねたが断られ、案内するための馬を用意しに行った。
「お前、国王に会うなんて自殺行為だぞ?災いをもたらす王女だと分かれば捉えられかねない」
「ラミンまでそんなことを言うのね?悲しいわ…」
「そうじゃなくてだな…!?」
災いの王女なんてこれっぽっちも思ってない!思ってないが、世間はそう思ってない。
アマンダがいい例だ。
半分俺のせいもあるが……。
ラミンの心配をよそにつんと済ましたミレイアにこんこんと説教をしたいところだったが。
「お待たせいたしました」
馬に乗って戻って来たデスタに言葉は止まり促されるままついて行く。