魔法の鍵と隻眼の姫
王城に着くと、直ぐに謁見の間に通されたミレイアとラミンは王の座る玉座までゆっくりと進んだ。
その両脇には数十人の臣下や兵が見守る。
王の前に着くと膝を着き礼をするミレイア。
「お初にお目にかかります。ノアローズ王国、アルトバル・ノアローズの娘、ミレイアと申します」
それを聞いた途端ざわざわと騒ぎ出す臣下たち。
あれが、噂の?
災いの姫?
何故この王国に?
災いを持ち込まれる!
こそこそと言っているようだがはっきりと聞こえるラミンは小さく舌打ちをする。
だから言わんこっちゃない。
ここから小娘を連れて逃げるのは骨が折れる。
斜め前で礼をしたまま動かないミレイアの背中を見ると微かに震えていた。
くそっ、どうするか……?
ラミンが逃げる算段を考えていると、スッと出した王の手により臣下はシーンと静まりかえった。
コツコツと足音が聞こえ下を向いたままのミレイアの前に黒光りするブーツの足先が見えた。
「ようこそおいで下さった。この日を待ちわびておりましたぞ、ミレイア王女」
そう言うとミレイアの手を取り立ち上がらせた人物は、肩まであるストレートの栗毛に口髭をはやし威厳と深い皺が貫禄を思わせ、頭上には輝く黄金のクラウン。
フリドリート・シエラ国王その人だった。
優しげな目で見つめてくる国王に震えていたミレイアもホッとした表情で微笑んだ。
ざわざわとする臣下たちを置き、応接間へ移った王とミレイア、ラミン以外人払いをされ今は3人だけ。
「臣下たちの態度、申し訳ない。この国にも間違った伝承が伝わり正しい歴史を知る者は少ない。我が王妃もそのくちでな、王女が嫌な思いをしないよう面会は遠慮させてもらった」
「い、いいえ、気にしてません…」
ミレイアは頭を下げる国王に恐縮する。
その横でラミンは王女の事を悪く言わないシエラ国王を不思議に思う。
「シエラ国王、何故あなたはこの王女を恐れないのです?間違った伝承がと言いましたが正しい伝承とは一体何なのでしょう?」
「ラミン!」
国王に物怖じせず質問するラミンに焦り小声で制するミレイア。
「ハハッ、よいよい、ここでは我ら3人のみ。聞きたい事がたくさんおありだろう。遠慮せず聞きなされ。なあ、ラミン・ドリスター殿?」
「!…何故、私の名前をご存知で?」
この応接間に王女と一緒に通され座ることを進められた時からおかしいとは思っていた。
今ラミンはこのシエラ王国の兵、つまりは国王の使いとしているはずが王女と同等の扱いをされている。
訝しげな顔で国王を見ていると、そんなラミンに嫌な顔一つせずに王は答えた。
「ミレイア王女とドリスター公爵のご子息がここに来るということはモリスデン殿から聞いている。二人がここに来たときに導くよう頼まれた」
「あんのジジイか…」
モリスデンの手の平で転がされれてるように思うラミンは苦虫を噛み潰したような渋い顔をする。
やり易いよう先回りしてくれてるのはありがたいが今も見られて鼻で笑われているような気がしてならない。
全てお見通しじゃわい!フォッフョッフォッ!
モリスデンの得意満面の顔が思い出されて思わず舌打ちしそうになる。
「はっはっ!あの大賢者モリスデン殿をジジイ呼ばわりするとは!なかなかたいした者だな!」
可笑しそうに笑う国王に呆気にとられるラミンは横から伸びてきた手に膝に置いてた手の甲を思いっきりつねられた。
痛てっ!と声には出さなかったが横を見ると怒るミレイアに無言で睨まれた。
その両脇には数十人の臣下や兵が見守る。
王の前に着くと膝を着き礼をするミレイア。
「お初にお目にかかります。ノアローズ王国、アルトバル・ノアローズの娘、ミレイアと申します」
それを聞いた途端ざわざわと騒ぎ出す臣下たち。
あれが、噂の?
災いの姫?
何故この王国に?
災いを持ち込まれる!
こそこそと言っているようだがはっきりと聞こえるラミンは小さく舌打ちをする。
だから言わんこっちゃない。
ここから小娘を連れて逃げるのは骨が折れる。
斜め前で礼をしたまま動かないミレイアの背中を見ると微かに震えていた。
くそっ、どうするか……?
ラミンが逃げる算段を考えていると、スッと出した王の手により臣下はシーンと静まりかえった。
コツコツと足音が聞こえ下を向いたままのミレイアの前に黒光りするブーツの足先が見えた。
「ようこそおいで下さった。この日を待ちわびておりましたぞ、ミレイア王女」
そう言うとミレイアの手を取り立ち上がらせた人物は、肩まであるストレートの栗毛に口髭をはやし威厳と深い皺が貫禄を思わせ、頭上には輝く黄金のクラウン。
フリドリート・シエラ国王その人だった。
優しげな目で見つめてくる国王に震えていたミレイアもホッとした表情で微笑んだ。
ざわざわとする臣下たちを置き、応接間へ移った王とミレイア、ラミン以外人払いをされ今は3人だけ。
「臣下たちの態度、申し訳ない。この国にも間違った伝承が伝わり正しい歴史を知る者は少ない。我が王妃もそのくちでな、王女が嫌な思いをしないよう面会は遠慮させてもらった」
「い、いいえ、気にしてません…」
ミレイアは頭を下げる国王に恐縮する。
その横でラミンは王女の事を悪く言わないシエラ国王を不思議に思う。
「シエラ国王、何故あなたはこの王女を恐れないのです?間違った伝承がと言いましたが正しい伝承とは一体何なのでしょう?」
「ラミン!」
国王に物怖じせず質問するラミンに焦り小声で制するミレイア。
「ハハッ、よいよい、ここでは我ら3人のみ。聞きたい事がたくさんおありだろう。遠慮せず聞きなされ。なあ、ラミン・ドリスター殿?」
「!…何故、私の名前をご存知で?」
この応接間に王女と一緒に通され座ることを進められた時からおかしいとは思っていた。
今ラミンはこのシエラ王国の兵、つまりは国王の使いとしているはずが王女と同等の扱いをされている。
訝しげな顔で国王を見ていると、そんなラミンに嫌な顔一つせずに王は答えた。
「ミレイア王女とドリスター公爵のご子息がここに来るということはモリスデン殿から聞いている。二人がここに来たときに導くよう頼まれた」
「あんのジジイか…」
モリスデンの手の平で転がされれてるように思うラミンは苦虫を噛み潰したような渋い顔をする。
やり易いよう先回りしてくれてるのはありがたいが今も見られて鼻で笑われているような気がしてならない。
全てお見通しじゃわい!フォッフョッフォッ!
モリスデンの得意満面の顔が思い出されて思わず舌打ちしそうになる。
「はっはっ!あの大賢者モリスデン殿をジジイ呼ばわりするとは!なかなかたいした者だな!」
可笑しそうに笑う国王に呆気にとられるラミンは横から伸びてきた手に膝に置いてた手の甲を思いっきりつねられた。
痛てっ!と声には出さなかったが横を見ると怒るミレイアに無言で睨まれた。