魔法の鍵と隻眼の姫
「何よそれ」
不満げにラミンを見ると以外にも優しい眼差しで見てくるから勝手に胸が高鳴る。
この顔を何度も見たのに未だに慣れずミレイアはその度にドキドキする。
不意にラミンがショールを抑える手を取ってさらにドキッと胸が弾む。
「やっぱり、手が冷たい。風邪ひくぞ。明日も早いんだ早く寝ろ」
ラミンが飛び回っていたノニを呼び窓を閉めると、手を繋いだままベッドにミレイアを連れて行った。
この温かい手が離れようとした時ミレイアはギュッと手に力を込めた。
「ラミン、一緒に寝て」
「は?」
驚いたラミンは固まりミレイアを凝視すると、小さなランプに照らされたミレイアの顔が赤い気がした。
繋がれたままの手にもう片方の手が加わりぎゅっと握る。
「今夜は一人で眠れそうにないわ。お願い」
そう言うとぐいぐいベッドに引っ張られ横たわったミレイアの上に四つん這いに覆いかぶさるようになった。
倒れ込むのを辛うじて持ちこたえたラミンは焦りミレイアを見下すと潤む上目使いに思ってはいけない感情が表に出る。
何だ?今、小娘が色っぽく見える…。
ノニが振り撒く金粉できらきらと装飾されたようなミレイアの熱い眼差しに目を見張るラミンはごくりと唾を飲み呟いた。
「…お前、襲われたいのか?」
「襲う?誰が?誰を?あなた私を襲う気なの?」
「は?!お前みたいな小娘を俺が襲うと思うのか?そういうことはもっとあちこち育ってから言え。俺はグラマーな女が好みなんだよ!」
売り言葉に思わずそう言ったラミンはいつかも同じようなことを言った気がすると思い出す。
この王女様は男を誘っている自覚がないと見える。
なのにこんなに妖艶に見上げて来るのだから困ったものだ。
目を合わせたミレイアと二人でプッと吹き出し、笑いながらドサッと隣に身体を投げ出したラミンは片手で目を覆いながら言った。
「わかったよ、今夜は一緒に寝てやる。今まで野宿やらなんやらずっと一緒だったからな。寂しいんだろ、お子様」
今夜は王城ということもあり部屋は別々に用意されてる。
本来なら夜更けに王女の部屋に入ることさえ許されないだろう。
しかし城の者は王女を恐れ誰も部屋に近付いて来ようとしないから見咎められることもない。
体を起こし頬杖をついたラミンはニッと口元を上げてミレイアを見た。
毛布を鼻先まで持ってきたミレイアはとろんとした左目をラミンに向ける。
「いつか…もっと大人になった時にはあちこち育ってラミンが襲いたくなるくらいものすごいグラマーな女になるんだから」
「!…おいおい」
驚くラミンを余所にモゾモゾと動き出したミレイアはぴとっとラミンにくっつき目を閉じる。
ノニもミレイアの髪の中に入って休んだようだ。
「あったかい…」
「……」
あっという間に眠りに入ったミレイアを見つめ、思わせ振りな態度に年甲斐もなくどきっとしたラミンは心を落ち着けるようにそっと乱れたミレイアの髪を撫でた。
「小娘だと思ってたのに……いつか、そんな日が来るのか…?」
苦笑いを溢し倒した腕を枕にして右目の眼帯を何気に見ると青い石がキラリと光った気がした。
明日、全てが明らかになったらきっとこの眼帯も取れる日が近い。
その時俺はお役御免だ。
そんなことを思いながら胸の中が靄がかかったようになり胸が締め付けられる。
離れがたい気持ちがはっきりとわかる、でも…
「その時はその時だ…」
一人呟きそっとミレイアの頬を撫で目を閉じた。
不満げにラミンを見ると以外にも優しい眼差しで見てくるから勝手に胸が高鳴る。
この顔を何度も見たのに未だに慣れずミレイアはその度にドキドキする。
不意にラミンがショールを抑える手を取ってさらにドキッと胸が弾む。
「やっぱり、手が冷たい。風邪ひくぞ。明日も早いんだ早く寝ろ」
ラミンが飛び回っていたノニを呼び窓を閉めると、手を繋いだままベッドにミレイアを連れて行った。
この温かい手が離れようとした時ミレイアはギュッと手に力を込めた。
「ラミン、一緒に寝て」
「は?」
驚いたラミンは固まりミレイアを凝視すると、小さなランプに照らされたミレイアの顔が赤い気がした。
繋がれたままの手にもう片方の手が加わりぎゅっと握る。
「今夜は一人で眠れそうにないわ。お願い」
そう言うとぐいぐいベッドに引っ張られ横たわったミレイアの上に四つん這いに覆いかぶさるようになった。
倒れ込むのを辛うじて持ちこたえたラミンは焦りミレイアを見下すと潤む上目使いに思ってはいけない感情が表に出る。
何だ?今、小娘が色っぽく見える…。
ノニが振り撒く金粉できらきらと装飾されたようなミレイアの熱い眼差しに目を見張るラミンはごくりと唾を飲み呟いた。
「…お前、襲われたいのか?」
「襲う?誰が?誰を?あなた私を襲う気なの?」
「は?!お前みたいな小娘を俺が襲うと思うのか?そういうことはもっとあちこち育ってから言え。俺はグラマーな女が好みなんだよ!」
売り言葉に思わずそう言ったラミンはいつかも同じようなことを言った気がすると思い出す。
この王女様は男を誘っている自覚がないと見える。
なのにこんなに妖艶に見上げて来るのだから困ったものだ。
目を合わせたミレイアと二人でプッと吹き出し、笑いながらドサッと隣に身体を投げ出したラミンは片手で目を覆いながら言った。
「わかったよ、今夜は一緒に寝てやる。今まで野宿やらなんやらずっと一緒だったからな。寂しいんだろ、お子様」
今夜は王城ということもあり部屋は別々に用意されてる。
本来なら夜更けに王女の部屋に入ることさえ許されないだろう。
しかし城の者は王女を恐れ誰も部屋に近付いて来ようとしないから見咎められることもない。
体を起こし頬杖をついたラミンはニッと口元を上げてミレイアを見た。
毛布を鼻先まで持ってきたミレイアはとろんとした左目をラミンに向ける。
「いつか…もっと大人になった時にはあちこち育ってラミンが襲いたくなるくらいものすごいグラマーな女になるんだから」
「!…おいおい」
驚くラミンを余所にモゾモゾと動き出したミレイアはぴとっとラミンにくっつき目を閉じる。
ノニもミレイアの髪の中に入って休んだようだ。
「あったかい…」
「……」
あっという間に眠りに入ったミレイアを見つめ、思わせ振りな態度に年甲斐もなくどきっとしたラミンは心を落ち着けるようにそっと乱れたミレイアの髪を撫でた。
「小娘だと思ってたのに……いつか、そんな日が来るのか…?」
苦笑いを溢し倒した腕を枕にして右目の眼帯を何気に見ると青い石がキラリと光った気がした。
明日、全てが明らかになったらきっとこの眼帯も取れる日が近い。
その時俺はお役御免だ。
そんなことを思いながら胸の中が靄がかかったようになり胸が締め付けられる。
離れがたい気持ちがはっきりとわかる、でも…
「その時はその時だ…」
一人呟きそっとミレイアの頬を撫で目を閉じた。