魔法の鍵と隻眼の姫
「この寺院の牧師を務めておりますキースと申します。」

丁寧にお辞儀をするキースに畏まり礼をするミレイア。
ラミンは呆然とそのキースを見ている。

「私は…」

「分かっておりますよ。さあ、中へお入り下さい」

自己紹介しようとするのを遮りドアを広く開け中に促すと一礼してミレイアはキースに近づいて行く。

「そういや、あの牧師様お前に少し似てるな?銀の髪なんか珍しいのに二人揃うと他人に見えない」

隣にいたデスタがぼそっと呟く。
キースは肩までの少しくすんだ銀のウェーブ掛かった髪でメガネを掛けているが顔立ちがどことなくラミンに似ていた。
ただ、目の色は濃い茶色で優しげな笑みを浮かべている。
ミレイアは近くに寄るとよりラミンに似ている綺麗な顔を見上げ、まだ呆然としているラミンと交互に見ていた。

「さあ、どうされました?ラミン様」

「あ、ああ…」

我に返ったラミンはゆっくりとキースに近づく。
その後ろを着いてくるデスタとブライアンはキースに止められた。

「あなた方はここで。国王様に後はお任せくださいとお伝えください」

「…わかりました。じゃあ、ラミン、お使者殿我々はここで」

「ああ、世話になったな」

「ありがとうございました」

ラミンとミレイアに挨拶するとその場を離れたデスタとブライアンは中に入って行く3人を見つめた。

「あいつら、ここで何をするんだろうな?」

「祈りを捧げるんじゃないのか?」

「いや、それだけじゃないだろ…」

なんとなく心配になったデスタはなぜ二人はここに来たのか聞いてなかったなと思う。

「帰ってくるよなあいつ…」

「直ぐ用事済ませて帰ってくるだろ?帰ってきたらさっきの続き、絶対吐かせようぜ」

気楽なブライアンはまだミレイアとラミンの仲を疑って絶対なんかある!と息巻き、ほら、帰るぞ!と馬に乗る。
続いて馬に乗るデスタは名残惜しそうに寺院を見た後、踵を返し帰路についた。

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