魔法の鍵と隻眼の姫
蓋を開け、持ったまま固まったラミンはその箱の中身を凝視した。
「白銀の…髪の毛…」
呟いたミレイアはラミンの顔を見た。
長いひと房の髪は丸められリボンで縛られている。
その艶やかな髪は白銀でラミンの髪の毛と殆ど同じ色をしていた。
キースの髪の毛も似ているが少しくすんでいてちょっと違う。
「髪の毛は元来その者の力が宿るといいます。これは約1200年前、この寺院を建てられた時に納められたものです」
「1200年前?」
キースの顔を見たラミンが呟く。
そんな昔の髪の毛には見えないほど切り取られたばかりのように艶やかで張りのある髪の毛をもう一度見る。
「これは、誰の…」
ミレイアの質問にキースはラミンの目をひたと見据えた。
目が合ったラミンは息を呑む。
「見てお分かりでしょう。この髪は私達のご先祖、大魔女ヴァルミラ様のたった一人のご子息アドラード様のものです」
「…は?何を言っている?先祖?大魔女?訳が分からない」
まったく聞いたことの無い話に訳が分からないと目を白黒させてラミンはソファーに背を預けた。
キースは冷めたお茶を一口飲んだ後、手をお腹の前で組み話し出した。
「ラミン様は何も知らないようですね?では順にお話しましょう。2000年前の言い伝えはご存知ですね?」
「ノアローズの創始者と魔女の…」
「そう、その魔女ヴァルミラ様が国を出て行った後ひっそりと暮らしていたのがあの迷いの森です。そしてそこで一人の男の子を産んだ」
「それがこの髪の持ち主…」
ラミンとミレイアはまた髪の毛に目をやる。
頷いたキースは話を続けた。
「アドラード様はヴァルミラ様と人間の間に出来た方で800歳まで生きておられましたが、亡くなりヴァルミラ様は大層お嘆きになりました。そしてこのアンロ・カリミン寺院を建て埋葬し、子孫に代々牧師として守役をお任せになったのです」
「800歳…あなたもそれくらい長く生きられるのですか?」
ミレイアが質問するとキースはゆっくりと首を振った。
「いいえ、私達は何代も人間と交わり魔女の血は薄れほぼ人間と同じ寿命です。ただ時に隔世遺伝で能力を持った者が生まれます。それが私やラミン様、あなたのように白銀の髪を持つ者です。ラミン様は人とは違う何か能力がありませんか?」
ラミンははっと目を見開く。
固まるラミンに代わりミレイアが答えた。
「ラミンはずば抜けた身体能力を持ってます。それはもう、早い足と剣の腕を…」
「そうですか…、私は夢見で未来を垣間見る能力を持っています。あなた方がここへ来ることも随分前に夢で見ました。人により能力は様々です。白銀の髪を持たないものには能力は出ません。その血を受け継ぐ者はごく僅かです」
「な、んだって?本当に俺は魔女の血を受け継いでるって言うのか?じゃあドリスター家は…」
「ドリスター家と我がカリミン家は同族です。あなたの家の家系図を見ればわかるでしょう。ただ、お父上は何もお教えしてないようですが…。ラミン様を守る為なのでしょう、それも致し方ないですね。」
「俺を守る?」
「白銀の…髪の毛…」
呟いたミレイアはラミンの顔を見た。
長いひと房の髪は丸められリボンで縛られている。
その艶やかな髪は白銀でラミンの髪の毛と殆ど同じ色をしていた。
キースの髪の毛も似ているが少しくすんでいてちょっと違う。
「髪の毛は元来その者の力が宿るといいます。これは約1200年前、この寺院を建てられた時に納められたものです」
「1200年前?」
キースの顔を見たラミンが呟く。
そんな昔の髪の毛には見えないほど切り取られたばかりのように艶やかで張りのある髪の毛をもう一度見る。
「これは、誰の…」
ミレイアの質問にキースはラミンの目をひたと見据えた。
目が合ったラミンは息を呑む。
「見てお分かりでしょう。この髪は私達のご先祖、大魔女ヴァルミラ様のたった一人のご子息アドラード様のものです」
「…は?何を言っている?先祖?大魔女?訳が分からない」
まったく聞いたことの無い話に訳が分からないと目を白黒させてラミンはソファーに背を預けた。
キースは冷めたお茶を一口飲んだ後、手をお腹の前で組み話し出した。
「ラミン様は何も知らないようですね?では順にお話しましょう。2000年前の言い伝えはご存知ですね?」
「ノアローズの創始者と魔女の…」
「そう、その魔女ヴァルミラ様が国を出て行った後ひっそりと暮らしていたのがあの迷いの森です。そしてそこで一人の男の子を産んだ」
「それがこの髪の持ち主…」
ラミンとミレイアはまた髪の毛に目をやる。
頷いたキースは話を続けた。
「アドラード様はヴァルミラ様と人間の間に出来た方で800歳まで生きておられましたが、亡くなりヴァルミラ様は大層お嘆きになりました。そしてこのアンロ・カリミン寺院を建て埋葬し、子孫に代々牧師として守役をお任せになったのです」
「800歳…あなたもそれくらい長く生きられるのですか?」
ミレイアが質問するとキースはゆっくりと首を振った。
「いいえ、私達は何代も人間と交わり魔女の血は薄れほぼ人間と同じ寿命です。ただ時に隔世遺伝で能力を持った者が生まれます。それが私やラミン様、あなたのように白銀の髪を持つ者です。ラミン様は人とは違う何か能力がありませんか?」
ラミンははっと目を見開く。
固まるラミンに代わりミレイアが答えた。
「ラミンはずば抜けた身体能力を持ってます。それはもう、早い足と剣の腕を…」
「そうですか…、私は夢見で未来を垣間見る能力を持っています。あなた方がここへ来ることも随分前に夢で見ました。人により能力は様々です。白銀の髪を持たないものには能力は出ません。その血を受け継ぐ者はごく僅かです」
「な、んだって?本当に俺は魔女の血を受け継いでるって言うのか?じゃあドリスター家は…」
「ドリスター家と我がカリミン家は同族です。あなたの家の家系図を見ればわかるでしょう。ただ、お父上は何もお教えしてないようですが…。ラミン様を守る為なのでしょう、それも致し方ないですね。」
「俺を守る?」