魔法の鍵と隻眼の姫
今だっ!!

ラミンの髪が引っ張られた瞬間にぱしっと掴み一匹妖精を捉えることに成功した。

「お前か、俺たちに悪さしてんのは」

ラミンの握った手にはエメラルド色の輝く髪の毛がつんつん立っていて虹色の羽が綺麗な妖精がいた。

「わあ可愛い、男の子かな?」

ミレイアの前に持っていくと目を輝かせ妖精を見つめている。
妖精は何とか抜け出そうと暴れてるけどラミンの手はビクともしない。

「やい!離せ!このっこのっ!」

「メルリ!やっぱりあんたなのさ!邪魔しないでってさっきさんざん言ったのさっ!」

ノニが飛んでくるとポカポカとメルリの頭を叩いて怒っている。

「の、ノニ、そんなに叩いちゃ可哀そうよ」

ノニが出発前にいなくなったのは仲間に悪さをしないように言って聞かせてたらしい。
ミレイアが可哀そうになって声を掛けるとノニは叩くのは止めたがまだ怒ってる。

「もう一匹いるだろう?おい妖精!仲間を助けたければ出てこい!」

『ふふん!そんな手には乗らないのさ』

叫ぶラミンの耳元に声がしてハッとした時にはもういない。

「ったく、すばしっこい奴め。だったらこいつがどうなってもいいんだな?」

「うっうわあっ苦しっ…」

ラミンは手を強く握りしめメルリを苦しませる。

「やっやだ!ラミンやめて!」

「ラミンやめて!仲間を殺さないで!」

ミレイアが手に縋りつくと腕を上に上げ届かないようにしてしまった。
その間も苦しむメリルにノニが必死にラミンの手を叩いたり引っ張ったり。

「煩い!俺たちは戯れでこの森に来てんじゃないんだ!仲間を殺されたくなかったら出てこい!」

「うわああ~ん!ラミンが怖い!ヤダヤダ!殺さないで!」

とうとう大泣きしてしまったノニを国王がそっと手を出し乗せると泣き崩れた。

「わあああん!やだ!殺さないでえ!」

「ラミンお願い!やめて!」

ミレイアも我慢出来ずに振り返りすがり付いて泣きそうになりながらラミンに訴えるが片手で抑えられてあの冷めた目が見降ろしてきて一瞬びくっと止まった。
そこに霧の中からびゅんっと光が飛び出してきてラミンの手に体当たりした。

「やい!言った通り出てきてやったんだ!仲間を離せ!」

ラミンの手をポカポカ叩く白い妖精はモンシロチョウのような羽に短い灰色の髪をしている。
必死に手を広げようとして引っ張るもやっぱりビクともしない。
メリルはとうとうぐったりしてしまった。

「メリル!」

ラミンはもう一匹も捕まえるとやっと手を下しメリルの方の手を広げた。
ミレイアが恐る恐るメリルを受け取り撫でてあげる。
ノニもミレイアの手に移ってメリルを揺すった。

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