魔法の鍵と隻眼の姫
「わしは1200年前になんて生まれておらぬ。たかが500歳の若造じゃ。すべてはヴァルミラ様から聞いたこと。いずれこの日が来た時には導き助けになれと言われてきた」
「えっ?2000年前から生きてたんじゃないのか?」
「そう言えば、モリスデン様は私達の血縁ですか?」
今更ながら魔法使いモリスデンの存在が気になる。
500歳も生きていて尚且つ若造と言ってのけるのも驚きだが、2000年前の事を見てきたかのように語っていたことは全て又聞きによるものとはにわかに信じがたい。
何故?どうして?と詰め寄る男どもに容赦なく杖の鉄槌が振り下ろされた。
「いてっ」
「ったっ」
「いっっ!」
国王にまで振り下ろした杖をこつんと床に打ち付けギロリと睨んだモリスデン。
「わしはお前たちとは何の血のつながりもない!400年前自分が死ねないことに恐れ慄き彷徨っていたときにヴァルミラ様に拾われた。人間だと思っていたわしはその時初めて魔物と人間の間に出来た子だと知った。ヴァルミラ様から昔あった出来事はヴァルミラ様の見せる魔法で映像と共に伝えられたのじゃ」
「じゃあ、モリ―はなんでお爺さんの姿なの?ヴァルミラ様はあんなにお若い姿なのに」
ふんと鼻を鳴らすモリ―を落ち着かせるように腕に手を添えたミレイアが首を傾げる。
ミレイアにはにっこりと笑い綺麗な黒髪を撫でた。
「人それぞれ老いの進み方も寿命も違う。ヴァルミラ様は永遠に死ななくてもわしはあと100年もしたら死に逝くだろうよ」
「え?そんな…」
ミレイアが驚き口を押える。
安心させるように何度も髪を撫でたモリスデンはこよなく愛しげにミレイアを見つめた。
「お前たちもせいぜい生きて100年だろうて、同じころにわしも死ねるのなら本望じゃわい」
「そ、そうね…」
私はその前に居なくなるかもしれないけど…。
ミレイアは密かにそう思うと深く息を吐いた。
「わしが何の魔物かは全てが終わったら話してやろう。楽しみに待っておれ」
静かに微笑んだミレイアに年甲斐もなくウィンクしたモリスデンは口を噤んでいた男どもを見回した。
「さて、話は逸れたが、鍵はラミンお前が持っておる」
「はっ?どこに!?」
「お前のその痣だ」
指さす先には左手に見えている黒い痣。
咄嗟に腕をまくり痣を確認すると今まで気付かなかったがドクドクと脈打つ鼓動のようなものを感じた。
「それがミレイアの右目を開放する鍵じゃ。…アドラード様はその瞳に吸い込まれるように消えていなくなったという。その後はどう戦ったかもわからぬ。誰も見てはいないのだからな?そして武器もない」
「じゃあ…俺はどうやって戦ったらいいんだ…?」
「きっとヴァルミラ様とアドラード様が導いてくださるじゃろう。わしらはここで見守ってるしか出来ないのが歯がゆいが…」
困惑気味のラミンに眉を潜めるモリスデン。
そうしている間にも空は黒く厚い雲に覆われまた小さく何かを呟いたモリスデンによって辺りに灯りが灯る。
「えっ?2000年前から生きてたんじゃないのか?」
「そう言えば、モリスデン様は私達の血縁ですか?」
今更ながら魔法使いモリスデンの存在が気になる。
500歳も生きていて尚且つ若造と言ってのけるのも驚きだが、2000年前の事を見てきたかのように語っていたことは全て又聞きによるものとはにわかに信じがたい。
何故?どうして?と詰め寄る男どもに容赦なく杖の鉄槌が振り下ろされた。
「いてっ」
「ったっ」
「いっっ!」
国王にまで振り下ろした杖をこつんと床に打ち付けギロリと睨んだモリスデン。
「わしはお前たちとは何の血のつながりもない!400年前自分が死ねないことに恐れ慄き彷徨っていたときにヴァルミラ様に拾われた。人間だと思っていたわしはその時初めて魔物と人間の間に出来た子だと知った。ヴァルミラ様から昔あった出来事はヴァルミラ様の見せる魔法で映像と共に伝えられたのじゃ」
「じゃあ、モリ―はなんでお爺さんの姿なの?ヴァルミラ様はあんなにお若い姿なのに」
ふんと鼻を鳴らすモリ―を落ち着かせるように腕に手を添えたミレイアが首を傾げる。
ミレイアにはにっこりと笑い綺麗な黒髪を撫でた。
「人それぞれ老いの進み方も寿命も違う。ヴァルミラ様は永遠に死ななくてもわしはあと100年もしたら死に逝くだろうよ」
「え?そんな…」
ミレイアが驚き口を押える。
安心させるように何度も髪を撫でたモリスデンはこよなく愛しげにミレイアを見つめた。
「お前たちもせいぜい生きて100年だろうて、同じころにわしも死ねるのなら本望じゃわい」
「そ、そうね…」
私はその前に居なくなるかもしれないけど…。
ミレイアは密かにそう思うと深く息を吐いた。
「わしが何の魔物かは全てが終わったら話してやろう。楽しみに待っておれ」
静かに微笑んだミレイアに年甲斐もなくウィンクしたモリスデンは口を噤んでいた男どもを見回した。
「さて、話は逸れたが、鍵はラミンお前が持っておる」
「はっ?どこに!?」
「お前のその痣だ」
指さす先には左手に見えている黒い痣。
咄嗟に腕をまくり痣を確認すると今まで気付かなかったがドクドクと脈打つ鼓動のようなものを感じた。
「それがミレイアの右目を開放する鍵じゃ。…アドラード様はその瞳に吸い込まれるように消えていなくなったという。その後はどう戦ったかもわからぬ。誰も見てはいないのだからな?そして武器もない」
「じゃあ…俺はどうやって戦ったらいいんだ…?」
「きっとヴァルミラ様とアドラード様が導いてくださるじゃろう。わしらはここで見守ってるしか出来ないのが歯がゆいが…」
困惑気味のラミンに眉を潜めるモリスデン。
そうしている間にも空は黒く厚い雲に覆われまた小さく何かを呟いたモリスデンによって辺りに灯りが灯る。