魔法の鍵と隻眼の姫
決戦から次の日
戻ってきたラミンとミレイアを見てトニアス達が呆然としたのは言うまでもない。
モリスデンに連れられ部屋に入ってきたラミンの腕には眠るミレイア。
何時目覚めるかもわからぬと言うモリスデンの言葉に青い顔で苦虫を噛み潰したようなラミンにトニアスは詰め寄ることも出来なかった。
ただただ絶句するばかりでミレイアをベッドに横たわらせ頭をひと撫でしたラミンの愛おしそうな眼差しに嫉妬もした。
アルトバル国王はラミンを責めることなく抱きしめ労をねぎらった。
「ミレイアの死を覚悟していたのだ。生きていてくれたことだけでも喜ばしい。ラミン、良く生きて帰った。ミレイアを守り世界を救ってくれたこと感謝する」
世界を救った救世主だと知らしめるため国を挙げて叙勲式を行うと言った王にラミンは横に首を振った。
「世界を救っても、王女を救えなかった…」
その一言を残し去っていくラミン。
そのままいなくなってしまうのではと懸念した王はラミンに国に留まるように命令した。
世界の救世主であり優秀なドリスター家の跡取りでもある。
黒い雲の脅威からラミンの命を守るために勘当していたが、その理由も無くなった今、王もドリスター公爵もラミンに次期宰相となることを望んだ。
「俺はそんな器じゃない」
「お主、わしの言うことを何でも聞くと言っておっただろう~~~」
「うわっ!」
ラミンの襟首を掴み間近で凄むモリスデンは最恐で、ラミンは否応なしに国に留まり、今はドリスター公爵の跡継ぎとして修行の身。
「俺は頭を使うより体を使った方が向いてるのに…」
気落ちしているラミンは渋々といった態で仕事をこなしているようだ。
小さいころ遊んでもらったと言うがまったく記憶の無いトニアスはラミンに興味を持ち少しでも知りたいと剣の指南を仰いだのだった。
元々身体を動かすのが好きだったラミンは頭ばっかり使う仕事に辟易していたので喜んでそれを受けた。
トニアスはラミンの身体能力に度肝を抜かれ、華麗な剣さばきに惚れ込み進んで指南を受けるが如何せん素直じゃないので未だに歩み寄ることが出来ない。
それから1年、元気を取り戻したかのように見えるラミンは、あれから一度もミレイアに会いに行っていない。
「旅に出ようと思う」
「はぁ?」
ラミンが突然口走る。
モリスデンの力を借りて国々が力を合わせて復興しているという。
旅してきた所をもう一度巡り自分の目でその復興を見たい。
「でも、ラミンの身は父上預かりになってるから勝手に旅なんてできないだろう?」
「ちっ、そうなんだよな、めんどくせえ」
アルトバル国王が苦手なラミンは悪態を付き、仰向けに寝転がり頭の後ろで手を組んだ。
袖をまくった腕にはくっきりと龍の尻尾が見える。
一度身体から抜け出た痣は戻ってきたときに胸に頭を乗せるように尻尾は左肩に巻きつくようにくっきりと、まるで刺青のように龍の形になって現れた。
龍の口の先にはミレイアに刺された剣の傷跡も薄らと残っている。
黒い雲はしっかりと封印されたようでラミンの体には何の影響もない。
そんな痣を見つめトニアスはラミンと同じようにゴロンと寝転ぶ。
国王たちをどう言いくるめようか思案するラミンは青い空を見つめた。
戻ってきたラミンとミレイアを見てトニアス達が呆然としたのは言うまでもない。
モリスデンに連れられ部屋に入ってきたラミンの腕には眠るミレイア。
何時目覚めるかもわからぬと言うモリスデンの言葉に青い顔で苦虫を噛み潰したようなラミンにトニアスは詰め寄ることも出来なかった。
ただただ絶句するばかりでミレイアをベッドに横たわらせ頭をひと撫でしたラミンの愛おしそうな眼差しに嫉妬もした。
アルトバル国王はラミンを責めることなく抱きしめ労をねぎらった。
「ミレイアの死を覚悟していたのだ。生きていてくれたことだけでも喜ばしい。ラミン、良く生きて帰った。ミレイアを守り世界を救ってくれたこと感謝する」
世界を救った救世主だと知らしめるため国を挙げて叙勲式を行うと言った王にラミンは横に首を振った。
「世界を救っても、王女を救えなかった…」
その一言を残し去っていくラミン。
そのままいなくなってしまうのではと懸念した王はラミンに国に留まるように命令した。
世界の救世主であり優秀なドリスター家の跡取りでもある。
黒い雲の脅威からラミンの命を守るために勘当していたが、その理由も無くなった今、王もドリスター公爵もラミンに次期宰相となることを望んだ。
「俺はそんな器じゃない」
「お主、わしの言うことを何でも聞くと言っておっただろう~~~」
「うわっ!」
ラミンの襟首を掴み間近で凄むモリスデンは最恐で、ラミンは否応なしに国に留まり、今はドリスター公爵の跡継ぎとして修行の身。
「俺は頭を使うより体を使った方が向いてるのに…」
気落ちしているラミンは渋々といった態で仕事をこなしているようだ。
小さいころ遊んでもらったと言うがまったく記憶の無いトニアスはラミンに興味を持ち少しでも知りたいと剣の指南を仰いだのだった。
元々身体を動かすのが好きだったラミンは頭ばっかり使う仕事に辟易していたので喜んでそれを受けた。
トニアスはラミンの身体能力に度肝を抜かれ、華麗な剣さばきに惚れ込み進んで指南を受けるが如何せん素直じゃないので未だに歩み寄ることが出来ない。
それから1年、元気を取り戻したかのように見えるラミンは、あれから一度もミレイアに会いに行っていない。
「旅に出ようと思う」
「はぁ?」
ラミンが突然口走る。
モリスデンの力を借りて国々が力を合わせて復興しているという。
旅してきた所をもう一度巡り自分の目でその復興を見たい。
「でも、ラミンの身は父上預かりになってるから勝手に旅なんてできないだろう?」
「ちっ、そうなんだよな、めんどくせえ」
アルトバル国王が苦手なラミンは悪態を付き、仰向けに寝転がり頭の後ろで手を組んだ。
袖をまくった腕にはくっきりと龍の尻尾が見える。
一度身体から抜け出た痣は戻ってきたときに胸に頭を乗せるように尻尾は左肩に巻きつくようにくっきりと、まるで刺青のように龍の形になって現れた。
龍の口の先にはミレイアに刺された剣の傷跡も薄らと残っている。
黒い雲はしっかりと封印されたようでラミンの体には何の影響もない。
そんな痣を見つめトニアスはラミンと同じようにゴロンと寝転ぶ。
国王たちをどう言いくるめようか思案するラミンは青い空を見つめた。