魔法の鍵と隻眼の姫
「何?旅に出るだと?」
「はい、世界が復興するのをこの目で見たい」
王の執務室で机の前に立っている男の言葉にその場にいた国王、ドリスター公爵、セイラス、モリスデンは驚きを隠せない。
ただ一人、トニアスだけは無表情でラミンの横顔を見つめた。
「ラミン、この国から出てはならぬと命令しているはずだ」
「そうじゃ、わしとの約束を反故にする気か?」
「俺は、一生この国から出られないのか?」
睨んでくるモリスデンにふんと鼻を鳴らし睨み返したラミンは国王の前だというのに腕を組み横柄な態度を取る。
「お前が帰ってくる保証はどこにある?行ったら最後帰ってこないつもりじゃないのか?」
心配するドリスター公爵にちらりと目をやり直ぐに逸らした。
それは帰ってこないと言ってるも同じ。
机の上で手を組み目を細め見上げてくる国王の沈黙が居心地悪い。
「父上!僕も…僕もラミンと一緒に旅をしたい」
「トニアス?」
驚くセイラスは隣にいるトニアスの真剣な目を見て本気だと悟る。
「僕がラミンを監視します。僕も一緒に旅をして将来兄上の助けになるために見聞を広めたい」
「監視ってお前…」
「ふむ、それはそれで良いかもしれぬ」
何で年下のトニアスに監視されなきゃならないのだと呆れたラミンがため息を吐き、モリスデンは見聞を広げるのはいいことだとトニアスの意見に賛同し口髭を撫でる。
「…よかろう、トニアスが同行するなら旅を許可する。ただし、期間は1ヶ月。セイラスの結婚式までには帰ってくるように」
重々しく口を開いた国王はラミンとトニアスが旅に出ることを許した。
それを聞いたセイラスは自分もと手を挙げる。
「ならば僕も、見聞を広めるために一緒に旅をしたい」
「セイラスは結婚式の準備と王太子としての引継があるから駄目だ」
結婚と共に王太子を引き継ぐことになるセイラスはそのための引継と勉強、準備が目白押しとなる。
とても悠長に旅をしていられない。
残念がるセイラスにトニアスは肩を叩く。
「兄上はこれから大変なのですから。どうか僕の代わりにミレイアをお願いします」
「ん…そうだな、二人ともいなくなってはミレイアが寂しがる」
力なく頷くセイラス。
ミレイアの名を聞いてドキリと胸を打つラミン。
ずっと考えないようにしていた。
それでもつい後宮が目に入ると思い出すミレイアの笑顔、そして泣き顔…。
今も眠るミレイアに会う勇気が持てずにあれから一度も顔を見ていない。
「ラミン、お前にウォルナーを貸してやろう。旅を終えたら必ずお前が返しに来るように」
帰ってくるように念押しした国王に居住まいを正したラミンは言葉も出さずに一礼する。
本当は帰ってくるつもりはなかったが…。
ビシビシと刺さってくる国王、モリスデン、父のドリスター公爵の視線。
トニアスを撒いて姿を隠そうかとも思ったが見つかったら最後、国王たちに八つ裂きにされそうだと苦笑いを零し執務室を後にした。
「はい、世界が復興するのをこの目で見たい」
王の執務室で机の前に立っている男の言葉にその場にいた国王、ドリスター公爵、セイラス、モリスデンは驚きを隠せない。
ただ一人、トニアスだけは無表情でラミンの横顔を見つめた。
「ラミン、この国から出てはならぬと命令しているはずだ」
「そうじゃ、わしとの約束を反故にする気か?」
「俺は、一生この国から出られないのか?」
睨んでくるモリスデンにふんと鼻を鳴らし睨み返したラミンは国王の前だというのに腕を組み横柄な態度を取る。
「お前が帰ってくる保証はどこにある?行ったら最後帰ってこないつもりじゃないのか?」
心配するドリスター公爵にちらりと目をやり直ぐに逸らした。
それは帰ってこないと言ってるも同じ。
机の上で手を組み目を細め見上げてくる国王の沈黙が居心地悪い。
「父上!僕も…僕もラミンと一緒に旅をしたい」
「トニアス?」
驚くセイラスは隣にいるトニアスの真剣な目を見て本気だと悟る。
「僕がラミンを監視します。僕も一緒に旅をして将来兄上の助けになるために見聞を広めたい」
「監視ってお前…」
「ふむ、それはそれで良いかもしれぬ」
何で年下のトニアスに監視されなきゃならないのだと呆れたラミンがため息を吐き、モリスデンは見聞を広げるのはいいことだとトニアスの意見に賛同し口髭を撫でる。
「…よかろう、トニアスが同行するなら旅を許可する。ただし、期間は1ヶ月。セイラスの結婚式までには帰ってくるように」
重々しく口を開いた国王はラミンとトニアスが旅に出ることを許した。
それを聞いたセイラスは自分もと手を挙げる。
「ならば僕も、見聞を広めるために一緒に旅をしたい」
「セイラスは結婚式の準備と王太子としての引継があるから駄目だ」
結婚と共に王太子を引き継ぐことになるセイラスはそのための引継と勉強、準備が目白押しとなる。
とても悠長に旅をしていられない。
残念がるセイラスにトニアスは肩を叩く。
「兄上はこれから大変なのですから。どうか僕の代わりにミレイアをお願いします」
「ん…そうだな、二人ともいなくなってはミレイアが寂しがる」
力なく頷くセイラス。
ミレイアの名を聞いてドキリと胸を打つラミン。
ずっと考えないようにしていた。
それでもつい後宮が目に入ると思い出すミレイアの笑顔、そして泣き顔…。
今も眠るミレイアに会う勇気が持てずにあれから一度も顔を見ていない。
「ラミン、お前にウォルナーを貸してやろう。旅を終えたら必ずお前が返しに来るように」
帰ってくるように念押しした国王に居住まいを正したラミンは言葉も出さずに一礼する。
本当は帰ってくるつもりはなかったが…。
ビシビシと刺さってくる国王、モリスデン、父のドリスター公爵の視線。
トニアスを撒いて姿を隠そうかとも思ったが見つかったら最後、国王たちに八つ裂きにされそうだと苦笑いを零し執務室を後にした。