魔法の鍵と隻眼の姫
「ウォルナー、また頼むな」
久しぶりに会った黒馬はラミンの事を覚えているのかブルルっと鼻を鳴らしすり寄ってきた。
「ラミン、こやつを連れていけ」
モリスデンがフードの中から出したのは金色に光る妖精。
「お、ノニ、久しぶりだな?どこにいたんだ?」
ひらひらと飛び回りラミンの肩に乗ったかつての旅の仲間。
ノニはぷくっと頬を膨らませ拗ねてるように見える。
「ずっとミレイアの傍に居た。ラミンが会いに来てくれなかったことを拗ねておる」
「あ、ああ、そうか、悪かったな…」
肩を落としたラミンが申し訳なさそうにノニに謝るとくるくると周りを飛び回り金の粉を降らせた。
まるで元気を出せと言ってるようだ。
「ラミン、この旅にトニアスの護衛としてそなたを任命する。必ずトニアスとウォルナーを無事帰すように」
「僕に護衛なんていりません。でも、必ずラミンは連れて帰ってきます」
もはや何のための旅なのか、国王に帰って来いと念を押され、トニアスにまで連れ帰ると言われたラミンは苦笑いしか出ない。
「ラミン、トニアスを頼むよ、ミレイアに似て向う見ずなとこがあるから」
「兄上!」
ふっと笑うセイラスは恥ずかしがり顔を赤くするトニアスの肩を叩く。
「トニアス、気を付けてね」
「はい、母上、行ってまいります」
寂しそうに微笑む王妃はトニアスと抱き締め合うとラミンに手を伸ばした。
「ラミン、あなたも。無事に帰ってきて。ミレイアが待ってますから」
「…はい」
差し出された手の甲に膝を着きキスをしたラミン。
見上げられた王妃はポッと頬を染める。
馬に乗り去っていく二人。
後ろ姿をずっと見ていたサリア王妃はアルトバル国王に肩を抱かれ顔を覗き込む。
「何か怒ってます?」
眉根を寄せ二人を見送っているようには見えない。
「サリアは…ラミンを随分気に入ってるようだな?」
「まあ…ふふふ、そうね気に入ってます」
「む…」
ラミンに焼きもちを焼いているのがバレバレの不機嫌なアルトバルを可愛いと思いながら想いを馳せる。
ラミンの事は子供の頃に何度も会っていたがそれも母のアリナが亡くなる10歳頃まで。今大人になりドリスター公爵に着いて仕事をしてる真面目な姿は時折見ていたし、トニアスやセイラスにも面倒見よく剣を教えているのも知っている。
そして、ミレイアに向ける眼差し。
愛おしく思っていると直ぐにわかった。
母にはわかる、きっと、ミレイアも…。
「ラミンは少しあなたに似ていると思いません?」
「え?私とラミンが…?」
「ミレイアを目覚めさせるのはラミンしかいませんわ、きっと…」
今は時間が必要なのだろう。
ラミンも、ミレイアも。
キョトンとする国王に微笑みかけ二人が取り戻してくれた青い空を見上げた。
久しぶりに会った黒馬はラミンの事を覚えているのかブルルっと鼻を鳴らしすり寄ってきた。
「ラミン、こやつを連れていけ」
モリスデンがフードの中から出したのは金色に光る妖精。
「お、ノニ、久しぶりだな?どこにいたんだ?」
ひらひらと飛び回りラミンの肩に乗ったかつての旅の仲間。
ノニはぷくっと頬を膨らませ拗ねてるように見える。
「ずっとミレイアの傍に居た。ラミンが会いに来てくれなかったことを拗ねておる」
「あ、ああ、そうか、悪かったな…」
肩を落としたラミンが申し訳なさそうにノニに謝るとくるくると周りを飛び回り金の粉を降らせた。
まるで元気を出せと言ってるようだ。
「ラミン、この旅にトニアスの護衛としてそなたを任命する。必ずトニアスとウォルナーを無事帰すように」
「僕に護衛なんていりません。でも、必ずラミンは連れて帰ってきます」
もはや何のための旅なのか、国王に帰って来いと念を押され、トニアスにまで連れ帰ると言われたラミンは苦笑いしか出ない。
「ラミン、トニアスを頼むよ、ミレイアに似て向う見ずなとこがあるから」
「兄上!」
ふっと笑うセイラスは恥ずかしがり顔を赤くするトニアスの肩を叩く。
「トニアス、気を付けてね」
「はい、母上、行ってまいります」
寂しそうに微笑む王妃はトニアスと抱き締め合うとラミンに手を伸ばした。
「ラミン、あなたも。無事に帰ってきて。ミレイアが待ってますから」
「…はい」
差し出された手の甲に膝を着きキスをしたラミン。
見上げられた王妃はポッと頬を染める。
馬に乗り去っていく二人。
後ろ姿をずっと見ていたサリア王妃はアルトバル国王に肩を抱かれ顔を覗き込む。
「何か怒ってます?」
眉根を寄せ二人を見送っているようには見えない。
「サリアは…ラミンを随分気に入ってるようだな?」
「まあ…ふふふ、そうね気に入ってます」
「む…」
ラミンに焼きもちを焼いているのがバレバレの不機嫌なアルトバルを可愛いと思いながら想いを馳せる。
ラミンの事は子供の頃に何度も会っていたがそれも母のアリナが亡くなる10歳頃まで。今大人になりドリスター公爵に着いて仕事をしてる真面目な姿は時折見ていたし、トニアスやセイラスにも面倒見よく剣を教えているのも知っている。
そして、ミレイアに向ける眼差し。
愛おしく思っていると直ぐにわかった。
母にはわかる、きっと、ミレイアも…。
「ラミンは少しあなたに似ていると思いません?」
「え?私とラミンが…?」
「ミレイアを目覚めさせるのはラミンしかいませんわ、きっと…」
今は時間が必要なのだろう。
ラミンも、ミレイアも。
キョトンとする国王に微笑みかけ二人が取り戻してくれた青い空を見上げた。