魔法の鍵と隻眼の姫
「トニアスお兄様心配しないで。お兄様の想いはしっかり胸に焼き付いてます。私はお兄様の心を持って行くから何時でもお兄様と一緒よ?」
セイラスに羽交い締めされたままのトニアスの胸に手を当てにっこり笑うミレイア。
すうっと怒りが消えたトニアスは落ち着きを取り戻し上げていた手を下げた。
「ミレイア、僕は…」
ミレイアを心配そうに見つめるトニアスはもう何も言わなかった。
「ラミン、息子の非礼を許してくれ。君に王女の護衛を任せる。どうか王女を無事迷いの森まで連れていってくれ」
「…かしこまりました」
威厳ある王がなんとなく苦手なラミンは気を引き締めて頷いた。
「よし、落ち着いたところでわしからも贈り物じゃ、ミレイアこれを」
そう言ってモリスデンがミレイアに手渡したものは小さな光の妖精だった。
「まあ、可愛い」
くりんとした目に金色の巻き毛虹色に輝く羽。
「名をノニと言う。わしの森に住む妖精じゃ。いろいろ便利で何かあれば伝達係になる、迷いの森に入るときには役に立つじゃろう。連れていけ」
ノニは浮き上がると羽をパタパタさせてミレイアの周りを飛び回った。
ミレイアはニコニコとノニを目線で追った。
「ありがとうございます。お師匠様」
「師匠?」
ミレイアがモリスデンに対して師匠と言うのを不思議に思ったラミンが声を上げる。
「ええ、モリーは私のお師匠様です。ハーブの種類から薬の調合。歴史から簡単な魔法までありとあらゆる事をお師匠から習いました。」
「へぇ、魔法まで……」
感心して顎に手をやるラミンを一瞥してモリスデンは重々しく言った。
「もちろん本当の魔法使いではないから本格的な魔法は使えないがな。この旅では必要になることもあるじゃろう。さあ、行くがよい、己の運命を開く旅へ」
2頭の馬に跨がりこっそりと裏門から出ていく二人を窓から見送る王達は渦巻く雲を見ながら祈った。
どうか、どうか無事に姫が帰るようにと。
そして帰った暁にはその右目が綺麗なアメジストになっていることを…。
セイラスに羽交い締めされたままのトニアスの胸に手を当てにっこり笑うミレイア。
すうっと怒りが消えたトニアスは落ち着きを取り戻し上げていた手を下げた。
「ミレイア、僕は…」
ミレイアを心配そうに見つめるトニアスはもう何も言わなかった。
「ラミン、息子の非礼を許してくれ。君に王女の護衛を任せる。どうか王女を無事迷いの森まで連れていってくれ」
「…かしこまりました」
威厳ある王がなんとなく苦手なラミンは気を引き締めて頷いた。
「よし、落ち着いたところでわしからも贈り物じゃ、ミレイアこれを」
そう言ってモリスデンがミレイアに手渡したものは小さな光の妖精だった。
「まあ、可愛い」
くりんとした目に金色の巻き毛虹色に輝く羽。
「名をノニと言う。わしの森に住む妖精じゃ。いろいろ便利で何かあれば伝達係になる、迷いの森に入るときには役に立つじゃろう。連れていけ」
ノニは浮き上がると羽をパタパタさせてミレイアの周りを飛び回った。
ミレイアはニコニコとノニを目線で追った。
「ありがとうございます。お師匠様」
「師匠?」
ミレイアがモリスデンに対して師匠と言うのを不思議に思ったラミンが声を上げる。
「ええ、モリーは私のお師匠様です。ハーブの種類から薬の調合。歴史から簡単な魔法までありとあらゆる事をお師匠から習いました。」
「へぇ、魔法まで……」
感心して顎に手をやるラミンを一瞥してモリスデンは重々しく言った。
「もちろん本当の魔法使いではないから本格的な魔法は使えないがな。この旅では必要になることもあるじゃろう。さあ、行くがよい、己の運命を開く旅へ」
2頭の馬に跨がりこっそりと裏門から出ていく二人を窓から見送る王達は渦巻く雲を見ながら祈った。
どうか、どうか無事に姫が帰るようにと。
そして帰った暁にはその右目が綺麗なアメジストになっていることを…。