魔法の鍵と隻眼の姫
「はあ、やっぱ一筋縄ではいかないな」

長い距離を走って魔物だって相当疲れてるだろうが如何せんデカいだけあって体力はあるようだ。
あちこち切りつけ血だらけな癖に魔物はラミンを何処までも追って来る。

ラミンは身体能力は人並み以上でもただの人間だ、さすがに体力が持たない。
気がつけば夕日が沈み宵の始めに差し掛かっている。
月があればまだいいが東の空に浮かんでいるのは三日月だ。
陽が落ちれば視界が悪くこちらの分が益々悪くなる。

「参ったな早く蹴りつけねえと!」

カキーンと振り落とした剣は魔物の爪に阻まれ弾き返される。
固い感触に手が痺れてくる。

「チッ、魔物さんよ!そろそろくたばってくれよ!」

ラミンは魔物の腹を駆け上がり顔の上に飛び乗ると剣を思いっきり右目に突き刺した。

「ギャウア~ッ!!」

魔物は大きく首を振りラミンを振り落とそうとする。
ラミンは突き刺した剣を掴んでなんとか落とされないようにしがみついたが魔物の爪がラミンに襲いかかり吹っ飛ばされてしまった。

「うあっ!」
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