魔法の鍵と隻眼の姫
砂漠に叩きつけられゴロゴロと転がり砂まみれになってしまった。
「う…」
幸い砂の上だった為ダメージは少ないが起き上がろうとしても体が思うように動かない。
魔物は刺さった剣を弾き飛ばし悶えた後、ラミンに向かって前足を振り落とした。
くそ…体が動かねえ!ここまでか…
ラミンは覚悟するもまだ死ねない!と迫って来る魔物の爪を睨み上げる。
そこへ黒い影が目の前に立ちはだかった。
キインッと爪と金属のかち合う音がする。
「ラミン!大丈夫か!」
「ト…ニアス…」
そこには剣を抜き魔物の爪を弾き返したトニアスの姿があった。
魔物が怯んだ隙にラミンを抱き起こす。
しかめっ面のラミン。
「お前、なんで来た…」
「こんな所で倒れてる場合じゃないだろ!絶対死なないって言っただろ!」
ラミンの腕を担いで立ち上がらせたトニアス。
魔物は興奮しているのか雄叫びをあげている。
「死ぬつもりはないんだがな…」
こんな時なのにラミンは笑ってトニアスを見た。
「当たり前だ!僕たちは必ず生きてミレイアの元に帰るんだ!そうだろ?」
「ああ、そうだな」
心配そうなミレイアの顔が思い浮かぶ。
「ラミン、あれを見ろ」
トニアスが指し示す方を見ると真っ暗闇のはずの地平線にオレンジ色の光が無数に見えた。
魔物も異変に気付いたのかその光の方へと体を向ける。
「あれは…人か?」
「ああ。馬たちを連れてくるときに近くにいた兵に話したんだ。それがお偉いさんだったみたいで直ぐに兵を準備して追いかけると言ってくれた」
何十、何百と数えきれないような松明の光と人影を目にしたラミンは支えてもらっている腕を外しフラりと立った。
ほんの僅かに感動が胸を震わせる。
魔物も警戒し四つん這いになって臨戦態勢を取っている。
「トニアス、剣を貸せ」
「ラミン!まだやる気か?もう体もボロボロだろ!後はメリダヌスの兵に任せろ!」
「ダメだ!あいつは俺が殺る!」
真剣な顔に何を言っても無駄だと知るとトニアスは持ってる剣をラミンに渡した。
「いいかラミン、絶対に生きてノアローズに帰るんだ。これは父上の命令だからな」
「わかってる…」
剣を握り直し魔物を見据えたラミン。
メリダヌス兵の怒号が聞こえ一斉に矢が放たれた。
一瞬怯んだ魔物に向かってラミンは走り出した。
何百もの兵達の怒号に力が沸いた。
仲間を守るため、戦いの前線にいたときを思い出し魔物に飛び乗り剣を振り落とした。
ウガアッ!!
叫びを上げる魔物。
剣を持った兵達が魔物に群がる。
魔物は暴れ足元の兵達を長い尻尾で蹴散らした。
「ああっ!!」
倒れ血を流す兵達を見て焦るラミン。
誰も死なせたくない!
「お前ら!死にたくなかったら手を出すな!」
魔物から飛び降り大将らしき男に詰め寄る。
「しかし!この魔物には皆苦しめられた!命を徒しても我々の手で退治したい!」
「こんなとこで命を落とすのは馬鹿のすることだ!お前らは復興に命を賭けろ!」
「しかしあなただって!」
反論しようとする男の肩にバシッと手を置いたラミンは余裕そうにニヤリと笑う。
「ここまで来てくれた事は恩に着る。あんたらは援護だけでいい。俺があいつをやっつけてやる」
ラミンは極上に悪い笑みで言いのけ、その自信ありげな表情に男は安心と背筋が凍るような相反する感情が全身を支配した。
ごくりと喉を鳴らしカクカクと頷いた。
「う…」
幸い砂の上だった為ダメージは少ないが起き上がろうとしても体が思うように動かない。
魔物は刺さった剣を弾き飛ばし悶えた後、ラミンに向かって前足を振り落とした。
くそ…体が動かねえ!ここまでか…
ラミンは覚悟するもまだ死ねない!と迫って来る魔物の爪を睨み上げる。
そこへ黒い影が目の前に立ちはだかった。
キインッと爪と金属のかち合う音がする。
「ラミン!大丈夫か!」
「ト…ニアス…」
そこには剣を抜き魔物の爪を弾き返したトニアスの姿があった。
魔物が怯んだ隙にラミンを抱き起こす。
しかめっ面のラミン。
「お前、なんで来た…」
「こんな所で倒れてる場合じゃないだろ!絶対死なないって言っただろ!」
ラミンの腕を担いで立ち上がらせたトニアス。
魔物は興奮しているのか雄叫びをあげている。
「死ぬつもりはないんだがな…」
こんな時なのにラミンは笑ってトニアスを見た。
「当たり前だ!僕たちは必ず生きてミレイアの元に帰るんだ!そうだろ?」
「ああ、そうだな」
心配そうなミレイアの顔が思い浮かぶ。
「ラミン、あれを見ろ」
トニアスが指し示す方を見ると真っ暗闇のはずの地平線にオレンジ色の光が無数に見えた。
魔物も異変に気付いたのかその光の方へと体を向ける。
「あれは…人か?」
「ああ。馬たちを連れてくるときに近くにいた兵に話したんだ。それがお偉いさんだったみたいで直ぐに兵を準備して追いかけると言ってくれた」
何十、何百と数えきれないような松明の光と人影を目にしたラミンは支えてもらっている腕を外しフラりと立った。
ほんの僅かに感動が胸を震わせる。
魔物も警戒し四つん這いになって臨戦態勢を取っている。
「トニアス、剣を貸せ」
「ラミン!まだやる気か?もう体もボロボロだろ!後はメリダヌスの兵に任せろ!」
「ダメだ!あいつは俺が殺る!」
真剣な顔に何を言っても無駄だと知るとトニアスは持ってる剣をラミンに渡した。
「いいかラミン、絶対に生きてノアローズに帰るんだ。これは父上の命令だからな」
「わかってる…」
剣を握り直し魔物を見据えたラミン。
メリダヌス兵の怒号が聞こえ一斉に矢が放たれた。
一瞬怯んだ魔物に向かってラミンは走り出した。
何百もの兵達の怒号に力が沸いた。
仲間を守るため、戦いの前線にいたときを思い出し魔物に飛び乗り剣を振り落とした。
ウガアッ!!
叫びを上げる魔物。
剣を持った兵達が魔物に群がる。
魔物は暴れ足元の兵達を長い尻尾で蹴散らした。
「ああっ!!」
倒れ血を流す兵達を見て焦るラミン。
誰も死なせたくない!
「お前ら!死にたくなかったら手を出すな!」
魔物から飛び降り大将らしき男に詰め寄る。
「しかし!この魔物には皆苦しめられた!命を徒しても我々の手で退治したい!」
「こんなとこで命を落とすのは馬鹿のすることだ!お前らは復興に命を賭けろ!」
「しかしあなただって!」
反論しようとする男の肩にバシッと手を置いたラミンは余裕そうにニヤリと笑う。
「ここまで来てくれた事は恩に着る。あんたらは援護だけでいい。俺があいつをやっつけてやる」
ラミンは極上に悪い笑みで言いのけ、その自信ありげな表情に男は安心と背筋が凍るような相反する感情が全身を支配した。
ごくりと喉を鳴らしカクカクと頷いた。