魔法の鍵と隻眼の姫

王都の外れ、旅人が多く通るターコイズ村は宿屋が立ち並び意外と栄えていた。
一つの宿屋前に留まりチェックインする。

「え？部屋が一つしかない？」

二部屋頼んだのに今日はもう満杯で一部屋しか空いていないと言う。
じゃあ違う宿屋に行こうかと言うとそこの女将に止められた。

「今日は年に一度の祭りがあってどこの宿屋も満杯だよ。あんたたちは運がいい。丁度キャンセルがあって一部屋空いたんだから。どうするんだい？ここをやめて野宿でもするかい？」

薄目で睨む女将に、え、いや、とラミンはミレイアを見るとフードを深くかぶったミレイアは静かにうんと頷いた。

「…わかった、泊まるよ。案内してくれ」

「そうかい！じゃ、今案内するよ」

嬉々として顔を綻ばせ先を行く女将にラミンはふぅとため息をついて付いて行った。

案内された部屋は意外と大きく真ん中の大きなベッドが目を引く。
ソファーとテーブル、壁際にドレッサー、3つドアがあり、バスルーム―、トイレ、クローゼットが並ぶ。

食事は朝食しか出ないから外で食べておくれと言って女将が去っていくとラミンはソファーに座り、ミレイアはローブを外しベッドに座りパタッと仰向けになった。
シンプルな白いワンピースと艶やかな黒髪がベッドに波打つ。

「私お城以外で寝泊まりするのは初めてよ。ウキウキするわね？」

「ああ？そうか？それより俺と同室で嫌じゃないのか？」

膝に肘をつき手に顎を乗せめんどくさそうにミレイアを見やるラミン。

「別にかまやしないわ。あなたは片時も私から離れちゃダメなんでしょ？なら、同室の方が都合がいいでしょ」

「へえ、意外と合理的なんだな？襲われるとか思わないのか？」

ちょっと驚きそう言うラミンに起き上がり挑発するように笑うミレイア。

「襲う？誰が？誰を？あなた私を襲う気なの？」

「は！？お前みたいな小娘を俺が襲うと思うか？そういうことはもっとあちこち育ってから言え。俺はグラマーな女が好みなんだよ！」