魔法の鍵と隻眼の姫
「おい、俺の連れになんか用か?」

そこへ、ラミンが食事と酒をお盆に乗せて戻ってきた。
不機嫌そうに二人の男を見おろす。

「あ、いや、席が無くて…」

やけに整った顔で威圧的に睨むラミンにしどろもどろな男。
不機嫌なラミンの睨みは鬼より怖い。

「こいつは俺のだ。ナンパするなら他を当たれ」

ばんっとお盆をテーブルに置くと男たちは慌てて立ち上がり走り去って行った。

ふん、と鼻を鳴らしてドカッと座るラミンを細目でミレイアは睨んだ。

「何時、私はあなたのものになったの?」

「ああん?お前あんな男どもにナンパされたかったのか?連れ去られてそれこそ襲われるぞ」

片眉を上げ意外そうに見るラミンにため息をつく。

「別にそんなつもりはないわ。彼らはほんとに席が無くてここに座っただけだし。悪いことしそうでもなかったわ」

「ふうーん、そんなことわかるのかよ」

イジワルに笑うラミンにムッとするミレイア。

「わかるわよ、私にはわかるの…。お腹すいたわ、食べましょう」

ふんと顔をしかめてフードをかぶり直し、目の前の料理に手を伸ばす。
ラミンは何も言わずに酒を飲んだ。

その様子を見ていたらしい女性たちは連れが女性だとわかるとがっかりしてほうとため息をついている。

一口食べたポテトグラタンに、うん!おいしい!と驚いたように目を見開くミレイアは我を忘れたように食事に集中した。
そんな彼女を目を細め見つめるラミンはテーブルに肘を付き首を傾けミレイアを覗き込むようにぽつりと言った。

「あんま、心配かけんなよ。お前の事守るのは俺の役目なんだから」

「う…善処します」

見つめられてなんとなくばつの悪くなったミレイアは目を合わさないように返事した。



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