魔法の鍵と隻眼の姫
・・・・・

固唾を飲んで見守ったが、何も起こらずがっくりと項垂れたミレイア。

「ほらな、やっぱり無駄だろ?」

そう言いながらも気になってミレイアの横で見ていたラミンは社の屋根に肘をついた。
なんて罰当たりな…。
じろりと睨むミレイアに苦笑いのラミン。

ゴゴゴゴゴッ!

「はっ!何!?」

「地震かっ!?]

突然地面が揺れだしラミンは咄嗟にミレイアを抱き締め落ちてくる水晶の欠片から守った。
ミレイアは地震と正面から抱きしめられたことに緊張して固まった。
馬に乗る時後ろから抱き寄せられたときは温かくて安心できたのに今は胸がドキドキして苦しい。
戸惑いと混乱でラミンの服をきゅと握った。

「治まったか…?」

ほんの数秒で揺れは収まり辺りを見回したラミンは祠のお皿に目が行った。

「おい、あれ見ろ」

抱きしめていた腕を緩めミレイアの目を社に向けさせた。
ドキドキする胸を押さえながら恐る恐る見るとお皿がチカチカと点滅しその上に載ったモッコウの実がスッと消えた。

「き、えた…」

呟くラミン。
呆然と見ていたミレイアが扉が少し開いているのに気が付いた。

「ラミンあれ…」

目を合わす二人。

「あ、お前顔が赤いぞ?熱でも出たか?」

真っ赤な顔をしてるミレイアの額に手を当て心配そうにしてるラミンに慌てて手を振る。

「な、何でもない!それより扉が開いてる!」

「あ、ああ、本当に大丈夫か?」

「大丈夫だから!」

顔を覗き込んでくるラミンから目を反らし手の甲で熱い頬を隠すが余計熱さを感じて目を泳がす。

「そ、それよりやっぱりお供えが鍵を開けたのかな?」

「いや、地震でたまたま扉が歪んで開いたんじゃないか?」

「そ、かな?」

「まあ、実が消えたから何かあるのかも知れないが…」

なんとか話を反らしたミレイアはまだ目が泳いでる。
ラミンはそんなミレイアを不思議に思いながらも扉が気になりミレイアを離すとゆっくりと社の扉に手を掛けた。

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