魔法の鍵と隻眼の姫
キィ…と小さな音を立ててなんの抵抗も無く開いた扉。
その中を覗いたラミンはそっと何かを手に取りミレイアも見えるようにつまみ上げた。
「綺麗、これ何?」
「鍵ではなかったな、水晶?…にしては薄いな」
それはお皿ような形で薄く、10cmくらいの大きさで、透明で角度を変えて見ると虹色に輝くガラスのようなものだった。
「あんま関係無かったみたいだな?」
興味津々のミレイアにそれを渡すと目の位置に掲げキラキラした左目が虹色を捉えた。
社の中をもう一度見回し何も無いのを確認して、無駄足だったなと思いながらミレイアの様子を腰に手を当て見ていたラミンは、ミレイアのアメジスト色の目が一瞬赤く光ったのを見て思わずその手を掴んだ。
「え?」
「お前、今……」
驚いて目を見開いているその左目はいつものアメジスト色でじっと見ても変わることはなかった。
「ら、ラミン?」
手首を握られたまま目をじっと見てくるラミンに逸らすこともできず居心地が悪くて話しかけた。
「あ、ああ悪い、何でもない」
我に帰ったラミンは手を離し首を傾げる。
今のはなんだ?怪しく光ったが…。
「あ、うん…。これ何かの鱗みたいにも見えるわね?」
何気なく差し出されたそれをラミンは掌に乗せままじまじと見た。
「鱗か、でもこんな大きな鱗だとよっぽどでかい怪魚でもないと無いんじゃないか?」
「そうね…」
二人で掌のその物体を見ていると、フワッと一瞬光り溶けるように消えてしまった。
「あっ消えたわっ!」
「え?…落ちた、訳でもないし、氷だったのか?冷たくは無かったが…」
手を裏返したりして探したが先ほどの物体は跡形もなく無くなってしまった。
「何だったんだ…?」
実といい今の物体といい忽然と消えたということは何かの力がここにはあるのだろうがさっぱり解らない。
首を捻るラミンの耳に何かが聞こえた。
「ん?」
「どうしたの?」
「何か聞こえる…」
「え?………何も聞こえないわ?」
耳を澄ましたミレイアは首を振るが、確かに何か聞こえる。
誰かが語りかけてるような…。
その声に集中するように目を瞑ったラミンは微動だにしなくなった。
「ラミン…?」
心配そうに話しかけるミレイアを気にも留めず声に集中すると、段々はっきりとそれはまるで頭の中で響くように聴こえてきた。
……
……の血を受け継ぐ者よ…
汝の……のままにその鍵を……
望むものを……
…その手に…
…を…………
……お前の心に…
………
……
「………くそっ聴こえねえ!」
しばらく集中していたが聴こえるのはそこまでで、とても大事なことのように思うその言葉も意味が解らない。
少しイラッとして言葉を吐いたと同時に目を開けたラミンは目を見開いているミレイアと目が合った。
「あ、悪い。お前は聞こえたか?」
「ううん、何も」
首を振るミレイアを見てやっぱり聴こえたのは自分だけだとわかると余計に混乱する。
なぜ、自分だけが聴こえたのか?
~血を受け継ぐ者~
それは俺のことか?
何の血を受け継いでるって言うんだ!?
考えてもドリスター家に受け継ぐようなものは公爵の身分ぐらいしかない。
今まで大層な話も聞いたこと無い。
この祠と自分には何の繋がりがあるというのか…。
その中を覗いたラミンはそっと何かを手に取りミレイアも見えるようにつまみ上げた。
「綺麗、これ何?」
「鍵ではなかったな、水晶?…にしては薄いな」
それはお皿ような形で薄く、10cmくらいの大きさで、透明で角度を変えて見ると虹色に輝くガラスのようなものだった。
「あんま関係無かったみたいだな?」
興味津々のミレイアにそれを渡すと目の位置に掲げキラキラした左目が虹色を捉えた。
社の中をもう一度見回し何も無いのを確認して、無駄足だったなと思いながらミレイアの様子を腰に手を当て見ていたラミンは、ミレイアのアメジスト色の目が一瞬赤く光ったのを見て思わずその手を掴んだ。
「え?」
「お前、今……」
驚いて目を見開いているその左目はいつものアメジスト色でじっと見ても変わることはなかった。
「ら、ラミン?」
手首を握られたまま目をじっと見てくるラミンに逸らすこともできず居心地が悪くて話しかけた。
「あ、ああ悪い、何でもない」
我に帰ったラミンは手を離し首を傾げる。
今のはなんだ?怪しく光ったが…。
「あ、うん…。これ何かの鱗みたいにも見えるわね?」
何気なく差し出されたそれをラミンは掌に乗せままじまじと見た。
「鱗か、でもこんな大きな鱗だとよっぽどでかい怪魚でもないと無いんじゃないか?」
「そうね…」
二人で掌のその物体を見ていると、フワッと一瞬光り溶けるように消えてしまった。
「あっ消えたわっ!」
「え?…落ちた、訳でもないし、氷だったのか?冷たくは無かったが…」
手を裏返したりして探したが先ほどの物体は跡形もなく無くなってしまった。
「何だったんだ…?」
実といい今の物体といい忽然と消えたということは何かの力がここにはあるのだろうがさっぱり解らない。
首を捻るラミンの耳に何かが聞こえた。
「ん?」
「どうしたの?」
「何か聞こえる…」
「え?………何も聞こえないわ?」
耳を澄ましたミレイアは首を振るが、確かに何か聞こえる。
誰かが語りかけてるような…。
その声に集中するように目を瞑ったラミンは微動だにしなくなった。
「ラミン…?」
心配そうに話しかけるミレイアを気にも留めず声に集中すると、段々はっきりとそれはまるで頭の中で響くように聴こえてきた。
……
……の血を受け継ぐ者よ…
汝の……のままにその鍵を……
望むものを……
…その手に…
…を…………
……お前の心に…
………
……
「………くそっ聴こえねえ!」
しばらく集中していたが聴こえるのはそこまでで、とても大事なことのように思うその言葉も意味が解らない。
少しイラッとして言葉を吐いたと同時に目を開けたラミンは目を見開いているミレイアと目が合った。
「あ、悪い。お前は聞こえたか?」
「ううん、何も」
首を振るミレイアを見てやっぱり聴こえたのは自分だけだとわかると余計に混乱する。
なぜ、自分だけが聴こえたのか?
~血を受け継ぐ者~
それは俺のことか?
何の血を受け継いでるって言うんだ!?
考えてもドリスター家に受け継ぐようなものは公爵の身分ぐらいしかない。
今まで大層な話も聞いたこと無い。
この祠と自分には何の繋がりがあるというのか…。