魔法の鍵と隻眼の姫
「………あーっ!わかんねえっ!!」

思わず叫び頭をガリガリと掻いたラミンに再び目を見開いたミレイアは恐る恐る近づいた。

「さっきからどうしたの?ラミン…?」

そっと腕に触れた途端にバチっと静電気のようなものが走り二人はお互いに飛び退いた。

「うっ…熱い…!」

その瞬間突然胸が火でも噴いたかのように熱くなり胸元を押さえたラミン。
それは体全体へと回り耐えきれなくなり膝を着きうずくまった。
悶えるように熱く体が石のように重い。

「えっ何!?どうしたの!?」

突然苦しみ出したラミンにどうしていいかわからずミレイアはおろおろするばかり。
触った途端に電気が走り苦しみ出したということは自分が悪いのだろうか?

「ああ、私のせい?ごめんなさいラミン!どうしたら…!?」

青ざめた顔でラミンに触れようとした手がまた電気が走ったらと思うと空で止まった。
その手がラミンの手によって包まれ、燃えるように熱い手にハッとするミレイア。

「大丈夫だ、これくらい、多分…直ぐ治まる…」

顔を上げたラミンは脂汗をかき苦悶の表情を見せながらも口元を上げ笑って見せた。
そんな事をするラミンに心配するミレイアの顔は歪み目が潤む。

もう触っても電気は走らない。
確信したラミンは掴んだ手を引っ張りミレイアを抱き締めた。

「そんな顔すんな。少しだけ、このまま…」

「ラミン…!」

泣いてる場合じゃない!
ラミンに抱き締められその体の熱さに驚きながらもこの熱を治められないかとミレイアは癒しの力を使った。
その熱がミレイアに伝わりなぜか眼帯をしている右目に熱がこもる。

「……っ!」

抱き締められ顔が見えないのが幸いしてラミンには気付かれてない。
呻き声を出さないように歯を食い縛り目を瞑った。
目尻の涙が一筋流れ、それも熱で干上がるように蒸発した。

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