魔法の鍵と隻眼の姫
腰が楽になったよ!と喜んだトレニーと綺麗になったペンダントを自慢げに首に下げたライオネルに一晩泊めてもらったお礼を言うと3人は馬に跨り出発した。

「お礼を言うのはこっちさね。ありがとうお嬢さん達。旅の無事を祈ってるよ」

いつまでも手を振るライオネルに振り向いては手を振り返すミレイア。
顔が少し青白いのを気にしたラミンが近づいた。

「おい、大丈夫か?」

「大丈夫、何ともない」

「お前あれは普通の人には使わないって言ってなかったか?」

「全て取ったわけじゃないわ。少しだけ動けるように…」

「ちょっと!さっきから何話してるの!?」

二人がまた自分の分からない会話をし出して面白くないアマンダが話の腰を折る。

「なんでもねえ、アマンダは気にすんな。ちんたらしてたら日が暮れる。急ぐぞ」

そう言うとラミンはウォルナーの腹を蹴り走り出した。
ミレイアもそれに続く。

話を誤魔化され、今朝はキスも拒まれ不満が募るアマンダ。
それもこれもやっぱりあの小娘のせい…。
あの子が居なくなってラミンと二人になればこんな不満は一気に消えるのに。
どこかであの子を撒いて行こうか、それとも殺そうか…。
黒い感情がアマンダを取り巻き、それはミレイアにも伝わってくる。

連日の自分に向けられる敵意とライオネルの感情を吸い取ったりトレニーの痛みを取ったり、ミレイアは少しずつ体調の変化を感じ取っていた。
ただ前のように直ぐに熱が出て倒れるようなことはなかった。
耐えられてる分その蓄積も大きくなる。
ミレイアはそのことにまだ気づいていない。
はあっと大きく息を吐くとミレイアはフィーダの腹を蹴りスピードを上げた。

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