魔法の鍵と隻眼の姫
・・・・
「っ…はっ!」
びくっと体を震わし目を見開いたラミンは巻き付く腕に体の自由を奪われていることに気が付いた。
辺りを見回しここは野宿をしてる谷間だと分かる。
「夢…?」
やけにリアルな夢だった。
はぁーっと息を吐きぐっすり寝ているアマンダの腕をそっと解いて起き上がった。
辺りはランプが灯して微かに明るいが焚火は燃え尽きようとしていて小一時間は経っているようだ。
頭をガシガシと掻いているとやっと違和感に気付いた。
焚火の向こう側に居るはずのミレイアの姿が無い。
ばっと頭を上げ辺りを見回すと暗がりの中崖の壁に手をついて歩いているローブ姿が薄らと見えた。
その周りにキラキラとノニが飛び回るのも見える。
「おい、何してる?」
ランプを持ち追いかけ肩を掴み振り返らせると鼻をすする音が聞こえる。
「もう…押し殺すのも限界なの…。悲しみが耐えられない…」
「何言ってるんだ?ここはもうノニの結界の外だぞ?魔物に襲われたいのか?」
初めて弱音を吐いたミレイアは肩を震わし、ランプを掲げると今にも倒れそうな顔をしている。
心配そうに辺りを飛び回るノニ。
「ここに居たら迷惑だから…」
「泣きたいのを我慢してるってことか?」
こくんと頷いたミレイアをじっと見ていたラミンはミレイアを抱き上げた。
「ラミン何してるの?降ろして…」
「いいから黙っとけ。ランプ持ってろ」
大人しくなったミレイアにランプを渡し、休んでいる馬たちの前に来てミレイアをウォルナーに乗せ自分もその後ろに乗った。
「ノニ、ちょっと行ってくる。フィーダとアマンダを守っていてくれ」
むうっと頬を膨らましぶんぶんと横に首を振るノニ。
置いてかれるのは嫌らしい。
「朝には戻るから頼む」
真剣な顔のラミン。俯くミレイアの目からはぽたぽたと涙が落ちる。
頬を膨らましたままうんと一つ頷いたノニにさんきゅと一言言い、ラミンはミレイアをしっかり抱きよせウォルナーを走らせた。
暫く崖の上を登りわずかな草原が広がり見晴らしのいい丘へと到着するとラミンはウォルナーから降りミレイアを抱き上げ草原にそのまま座った。
傍らにランプを置きミレイアはされるがまま大人しくしているとラミンは頭を抱えるように抱き締め直した。
「ここなら思う存分泣けるだろ?」
わざわざアマンダから遠ざかり聞こえない場所へ来て泣けと言う。
ラミン達に迷惑をかけないために一人その場所を求めさ迷うはずだったミレイアは温かい胸に抱き締められ頭を撫でられ我慢していた苦しさを少しずつ吐き出した。
「っ…はっ!」
びくっと体を震わし目を見開いたラミンは巻き付く腕に体の自由を奪われていることに気が付いた。
辺りを見回しここは野宿をしてる谷間だと分かる。
「夢…?」
やけにリアルな夢だった。
はぁーっと息を吐きぐっすり寝ているアマンダの腕をそっと解いて起き上がった。
辺りはランプが灯して微かに明るいが焚火は燃え尽きようとしていて小一時間は経っているようだ。
頭をガシガシと掻いているとやっと違和感に気付いた。
焚火の向こう側に居るはずのミレイアの姿が無い。
ばっと頭を上げ辺りを見回すと暗がりの中崖の壁に手をついて歩いているローブ姿が薄らと見えた。
その周りにキラキラとノニが飛び回るのも見える。
「おい、何してる?」
ランプを持ち追いかけ肩を掴み振り返らせると鼻をすする音が聞こえる。
「もう…押し殺すのも限界なの…。悲しみが耐えられない…」
「何言ってるんだ?ここはもうノニの結界の外だぞ?魔物に襲われたいのか?」
初めて弱音を吐いたミレイアは肩を震わし、ランプを掲げると今にも倒れそうな顔をしている。
心配そうに辺りを飛び回るノニ。
「ここに居たら迷惑だから…」
「泣きたいのを我慢してるってことか?」
こくんと頷いたミレイアをじっと見ていたラミンはミレイアを抱き上げた。
「ラミン何してるの?降ろして…」
「いいから黙っとけ。ランプ持ってろ」
大人しくなったミレイアにランプを渡し、休んでいる馬たちの前に来てミレイアをウォルナーに乗せ自分もその後ろに乗った。
「ノニ、ちょっと行ってくる。フィーダとアマンダを守っていてくれ」
むうっと頬を膨らましぶんぶんと横に首を振るノニ。
置いてかれるのは嫌らしい。
「朝には戻るから頼む」
真剣な顔のラミン。俯くミレイアの目からはぽたぽたと涙が落ちる。
頬を膨らましたままうんと一つ頷いたノニにさんきゅと一言言い、ラミンはミレイアをしっかり抱きよせウォルナーを走らせた。
暫く崖の上を登りわずかな草原が広がり見晴らしのいい丘へと到着するとラミンはウォルナーから降りミレイアを抱き上げ草原にそのまま座った。
傍らにランプを置きミレイアはされるがまま大人しくしているとラミンは頭を抱えるように抱き締め直した。
「ここなら思う存分泣けるだろ?」
わざわざアマンダから遠ざかり聞こえない場所へ来て泣けと言う。
ラミン達に迷惑をかけないために一人その場所を求めさ迷うはずだったミレイアは温かい胸に抱き締められ頭を撫でられ我慢していた苦しさを少しずつ吐き出した。